R&D戦略と知的財産戦略   R&D Strategy & Intellectual Property Strategy

文字サイズ 

担当教員
京本 直樹 
使用教室
月9-10(CIC913)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
36019
シラバス更新日
2008年10月1日
講義資料更新日
2008年10月1日
学期
後期

講義概要

有力企業のR&D戦略と知的財産戦略を理解し,発明の創造,権利化,活用を最適に行うためにR&D戦略と知的財産戦略はいかに連携を取るべきかにつき習得させる。ヒアリング,アンケート等を通じて収集した有力企業のR&D戦略と知的財産戦略の実体と関連組織,知的財産活動の結果,特に,事業利益等に大きく貢献した知的財産活動の実例等から望ましい知的財産戦略遂行体制の構築のための必要条件を習得させる。今後益々重要性を増すR&D戦略と知的財産戦略の連携という切り口から企業の実態を捉え,実務的,実践的な観点での知識習得をケーススタディも取り入れて実施する。

講義の目的

適切な知的財産マネジメントの下に知的財産活動を行うことの重要性を理解するために企業における出願および権利活用戦略、知的財産に関するリスクマネジメント、知的財産の価値評価、発明者へのインセンティブ、ライセンスのための契約プロセス等について事例に基づき講義する。特に、R&D戦略と知的財産戦略の連携の下で特許ポートフォリオの構築・管理を行い知的財産活動することの重要性を解説する。

講義計画

01.特許ライセンス交渉のプロセスと契約よびその意義 :特許係争等を終結させるための係争当事者間の契約の意義と重要条項の説明
02.米国特許訴訟事例に見る住友電工のR&D戦略と知的財産戦略:住友電工の光ファイバ技術開発事例紹介、 事前配布の住友電工ケースに基づき学生は均等論の妥当性検討
03.主要企業の権利化および活用戦略:権利の意義、事例の紹介、企業における活用パターン、クロスライセンス、SONY、IBM、キャノン等の事例紹介
04.半導体業界の特許活用戦略:特許係争が多発している半導体業界における特許活用戦略について事例紹介
05.フジクラの知的財産活動紹介:近年活躍が目覚しいフジクラの知的財産活動事例の紹介を通じて企業の知的財産活動の実態,取組みを理解する。
06.知的財産の価値評価と情報開示:価値評価の意義、事例 企業の考え方を説明し知的財産の価値評価について学ぶ。
07.セイコーエプソンの知的財産戦略:精密機械業界において知的財産活動が著しく活発なセイコーエプソンの事例を紹介
08.発明者へのインセンティブ:職務発明と何か、法的意義、対価の補償に関して生じる発明者と企業間の訴訟、、企業における補償事例について学ぶ。
09.米国の特許侵害実務:特許訴訟制度、侵害訴訟事例、日米における訴訟実務の比較、米国における陪審制度、ディスカバリ、ITC等について説明
10.知的財産のリスクマネジメント:高額訴訟事例、侵害差止訴訟事例等から見られる知的財産に関するリスク、このようなリスクに対する企業の取組み事例紹介
11.権利濫用に関するキルビー最高裁判決の紹介とそこから学んだこと:富士通とTI(テキサス・インスツルメンツ)との間のキルビー特許訴訟事例を分析して訴訟への対応、学んだことを理解する。
12.中国における知的財産活動の事例と留意点:SONYの中国における知的財産活動を中心とした日本企業の知的財産活動の紹介を通じて中国での活動のあり方について学ぶ。
13.企業におけるあるべき知的財産活動:企業の価値向上に向け望ましい知的財産活動のあり方について学ぶ。特に、知的財産マネジメントの導入の重要性を理解する。
14.グループワーク:望ましい知的財産人材の育成に向けて必要な要素、能力等について議論する。

教科書・参考書等

参考書等
資料配布

関連科目・履修の条件等

特になし

成績評価

2回程度のレポート提出、講義における討議への参加、プレゼン能力および出席回数

担当教員の一言

企業が取組む知的財産活動事例を通じて企業価値向上に貢献する知的財産活動のあり方を学ぶ講義です。企業の最新の知的財産戦略を取り入れる等事例中心の講義です。

その他

講義手法
討論、演習を通して理解を深める。

・企業実務に即した講義 企業における知的財産活動の事例を多く活用(ヒアリング、アンケート、経験、企業資料に基づく)
・ケース開発教材の活用による理解の確認
・企業知的財産部長クラスの外部講師による講義(6回位)とディスカッション:企業知財トップによる企業現場の理解と臨場感の体験
・講義説明後の理解の確認実施

このページのトップへ