機能デバイスの構成要素となるヘテロ接合及びナノ構造中の電子状態,輸送,スピン等に関する物性論的基礎事項を概観した後,そのデバイス構成法及び設計論について講述する.具体的には,2次元電子ガスや極微細構造におけるバリスティック伝導,散乱機構,トンネル輸送,単電子輸送,スピン伝導,光と電子の相互作用などの新しい物理現象を応用した先端デバイスについても講述する.「物理電子システム基礎論I」と連動して講義を行う。
機能デバイスの基礎となるヘテロ接合や、ナノメートル寸法の極微構造に生じる物性を論じ,極微細電子材料における量子効果,光-電子相互作用,単電子輸送,スピントロニクスなどの新しい物理現象を利用したデバイスについても詳述する。「物理電子システム基礎論Ⅰ」と連動して講義を行う。
1.ヘテロ接合の形成と電気伝導
2.ヘテロ接合のデバイス応用
3.量子構造中の電子状態
4.ナノ構造中の電子輸送と散乱機構
5.光と電子の相互作用基礎
6.小テスト
7.スピントロニクスⅠ 磁気抵抗効果とスピン材料
8.スピントロニクスⅠ TMRと不揮発メモリ
9.スピントロニクスⅡ 半導体へのスピン注入
10.スピントロニクスⅡ スピントランジスタの基礎
11.スピントロニクスⅢ 電界効果型スピントランジスタ
12.スピントロニクスⅢ CMOSロジック応用
13.ナノエレクトロニクスⅠ ナノデバイスの概要
14.ナノエレクトロニクスⅠ 単一微小トンネル接合
15.ナノエレクトロニクスⅡ 超伝導微小トンネル接合
16.ナノエレクトロニクスⅡ 量子コンピューティングの基礎
特に指定しない。
物理電子システム基礎論I。固体物性とそれを理解するのに必要な量子力学、電磁気学等の知識が必要。
レポートおよび小テストにより成績評価を行う。
現代の電子システムは,固体物性を巧みに応用したデバイス群によって構成されていますが,さらなるシステム機能の高度化へ向けて,革新的な機能デバイスの創造が期待されます.実際,半導体デバイスの究極的な微細化や超薄膜形成技術の進展により,量子効果を動作原理とするデバイスが現実のものとなってきています.本講義では電子輸送を軸に固体デバイスの動作原理の基礎事項を整理するとともに,ナノエレクトロニクス、スピントロニクスを含む先端デバイス研究の一端にも触れていただきたいと考えています。