環境アセスメントの基本概念とプロセスをその論理的基礎であるシステム分析とコミュニケーションの観点から講述する。このため,いくつかの事例を提示し,評価項目の設定,調査方法,個別及び総合評価方法,代替案の設定などを具体的に解説する。さらに,住民参加を含めた,社会としての意思決定のあり方を述べる。
環境アセスメントとは何か、その方法について理論と実際を論じる。環境に配慮した意思決定過程の透明性を高めるためには、計画や政策決定の段階からアセスメントをしなければならない。これは意思決定に関わる問題なので主体間の価値対立や合意形成の問題が関連してくる。アセスメントはこのためのコミュニケーションプロセスである。講義では、最新の話題であるStrategic Environmental Assessment にもふれる。
担当教官が放送大学で担当している同名のテレビ講義「環境アセスメント」のビデオ教材を適宜使い、具体事例にも触れながら授業を進める。
1 環境問題の変遷
2 環境アセスメントとは何か、持続可能な発展
3 評価枠組みの設定、スコーピング
4 予測と評価の方法
5 コミュニケーションの方法
6 日本の現行制度と事例
7 アメリカの制度と事例
8 環境影響評価法
9 アセスメントと紛争、調停
10 より積極的な住民参加
11 環境計画とアセスメント
12 Strategic Environmental Assessment(SEA)
【教科書】原科幸彦: 改訂版・環境アセスメント. 放送大学教育振興会、331pp.2000
【参考書】「科学」編集部編: 大震災以後. 岩波書店, 356pp. 1998、
土木学会環境システム委員会: 環境システム. 共立出版、286pp、1998
国際影響評価学会日本支部訳: 戦略的環境アセスメント. ぎょうせい、1998
小レポート、期末試験、出席も考慮
本講義が環境理工学創造専攻の必修科目になっているのは、環境への影響を配慮した意思決定のための情報を生産することは本専攻の共通する目的だからである。現実の環境事象をしっかり見て、判断する力をつけてもらいたい。常に疑問を持つ心を忘れずに。