本講義は,前半部と後半部にわけて二人の教員が担当して行なう。前半部では,固体の変形および応力・ひずみ状態を定量的に扱うために不可欠な線形弾性論,マイクロメカニックスなどの基礎を解説する。また,後半部では,転位を中心とする格子欠陥の役割を明らかにしながら,結晶性材料における変形や強化の機構を系統的に解説する。
固体材料の力学的性質を定量的に理解する手法や材料強度の発現機構を学ぶ.テキストによる講義と演習問題によって理解を深める.前半では,応力,ひずみの定義から始めて,線形弾性論およびマイクロメカニックスの基礎を講述する(加藤). 後半では,結晶性材料の力学的性質に対する格子欠陥の役割,とくに塑性変形を担う転位について講述し,材料の変形や強化機構と,それらの支配因子を系統的に解説する(尾中).
前半(加藤):変位・ひずみ・回転 面力と応力 フックの法則と弾性ひずみエネルギー ベクトルとテンソルの座標変換 弾性場の求め方 楕円体介在物(Eshelby問題) 変形の熱力学と速度論 熱力学と相互作用エネルギー 中間試験
後半(尾中):格子欠陥と転位の概念 転位の弾性論 転位に働く力 転位の諸性質 応力-ひずみ曲線 強化機構 期末試験
担当教員が作成したテキストを用いる.
テキストは配布しないので,各自OCWからダウンロードして講義に臨むこと.
1,2週間先の分まで用意しておくことが望ましい.
参考書として担当教員の著書を挙げておく.
・加藤 雅治:入門転位論,裳華房,1999.
・加藤 雅治,熊井 真次,尾中 晋:材料強度学,朝倉書店,1999.
特に無し
授業への出席,数回程度出題されるレポート課題への解答,そして前半部と後半部それぞれについての試験の結果によって総合的な評価を行う.
材料の力学的性質は物質・材料科学にとって大切な学問分野の一つですので,この分野を初めて学ぶ人にも分かりやすくて有益な授業を目指しています.質問,コメント等を歓迎します.