材料の機能と特性は,原子・分子レベルで特徴づけられる物性,内部構造である組織の形態によって決定される。複数の物質が複合化する場合は特に組織の影響が大きい。材料の組織制御によって機能特性を設計できるため,ナノからマクロのマルチスケールで材料組織を理解することが重要である。本講義では,熱力学に基づく相平衡や相変態,結晶構造と弾性ひずみに基づく界面エネルギーなどの視点から,組織の形成過程と原理を理解して,組織と機能特性の関係を考える。
いかなる『材料(material)』も、どのような『物質(matter)』から創られているかだけではなく、原子・分子レベル、それが集合したレベルでの『組織=微細的構造(microstructure)』によって特性・機能が支配されています。材料の組織を巧みに制御することによって新しい特性や機能を引き出すことができます。本講義では主に金属材料を題材として、材料組織の形成過程と制御方法、材料組織と機能・特性の関係を理解することを目的とします。
1. 序論-材料の組織と機能,2. 物質と結晶構造,3. 状態図と組織 (相律と相平衡,二元系状態図,三元系状態図,状態図に基づく熱処理と組織制御),4. 凝固過程と組織形成,5. 拡散相変態と組織形成 (核生成・成長,析出とスピノーダル分解),6. 無拡散相変態と組織形成 (マルテンサイト変態),7. 加工組織と変形組織-回復・再結晶,破壊に関する組織
各回毎の配付資料。参考図書を講義中に紹介する
履修の条件
試験(中間・期末)の得点、ならびに講義で出題するクイズの提出による出席点で成績を評価します。
エネルギーや環境など社会問題の多くは材料の開発に強く依存しているため、材料工学・材料科学の分野だからこそ成し遂げられることがたくさんあります。その鍵を握る材料の組織を学んで一緒にチャレンジしましょう。