経済物理学   Econophysics

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担当教員
高安 美佐子 
使用教室
月3-4(G511)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
94046
シラバス更新日
2009年9月28日
講義資料更新日
2009年9月28日
学期
後期

講義概要

膨大な高頻度経済データを物理学の視点に立って分析する経済物理学を,基本的な概念から実践的な応用まで学ぶ。まず,相転移やフラクタルなどの基本となる統計物理学の概念や解析手法について導入する。次に,典型的な市場の例として外国為替市場の仕組みを把握した上で,高頻度市場データの解析方法,及び,基本的な統計的性質を学ぶ。市場価格に関する基本的なモデルを紹介する。また,企業所得やネットワーク構造などについても議論する。

講義計画

1.物理学と経済学の接点
物理学者が開拓した経済現象の歴史 / フラクタルと経済学 / コンピュータの発達と経済物理学の誕生 / 経済物理学の社会的ニーズ
2.確率・統計の基礎
確率統計の基礎と経済現象 / 確率変数・確率分布 / 中心極限定理と正規分布/ 情報量最大の分布
3.経済現象に見られるべき分布の生成メカニズム
べき分布の特性 / 確率変数の変数変換から導出されたべき分布 / 情報量最大の分布から導出されたべき分布 / 安定分布と拡張された中心極限定理 / ランダム乗算過程 / 自己変調過程と1/f ノイズ / 相転移現象を引き起こす数理モデル
4.自己相関関数とパワースペクトル
相関係数の推定 / 最小二乗法と回帰直線 / 自己相関関数 / Wiener‐Khinchinの定理 / べき乗の自己相関関数
5.ランダムウォーク
確率過程とは / 遷移行列 / ランダムウォーク / Langevin方程式 / Fokker‐Planck方程式 / 自己回帰モデル / 特性方程式 / Yule-Walker方程式 / 時系列データのシステマチックなノイズ除去方法
6.金融市場とその変動の統計性質のモデル化
金融市場のしくみ / 金融データについて / 観測されている統計性質 / 市場に働く集団心理:市場価格のポテンシャルモデルによる市場の統計性の再現 / バブル・クラッシュにおける負の粘性係数の測定 / 観測されたインフレーションとその理論 / 市場の意志決定モデル / ディーラーモデルによる市場の統計性の再現
7.経済現象の分岐構造とそのモデル化
幾何学的フラクタル構造/ 分岐構造の数理モデルとべき分布 / 日本の銀行統廃合の系統図
8.経済ネットワークの構造
日銀のネットワーク / 商品のネットワーク / 企業のネットワーク人間の購買行動

成績評価

膨大な高頻度経済データを物理学の視点に立って分析する経済物理学を,基本的な概念から実践的な応用まで学ぶ。まず,相転移やフラクタルなどの基本となる統計物理学の概念や解析手法について導入する。次に,典型的な市場の例として外国為替市場の仕組みを把握した上で,高頻度市場データの解析方法,及び,基本的な統計的性質を学ぶ。市場価格に関する基本的なモデルを紹介する。また,企業所得やネットワーク構造などについても議論する。

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