低温理工学   Cryogenic Engineering and Physics

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担当教員
岡村 哲至  栗山 透 
使用教室
火7-8(G323)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
93004
シラバス更新日
2015年4月7日
講義資料更新日
2015年4月7日
学期
前期

講義概要

 マイナス150℃以下の極低温の世界における冷媒の性質、断熱技術、冷却技術、冷凍機の原理や応用などについて講義します。また、極低温技術を利用した超電導マグネットや超電導機器についてもビデオや写真を利用しながら最新の技術を紹介します。
 授業は、前半でおもに超電導現象と冷却・冷凍の基礎を、後半で極低温技術や超電導応用の開発の現状について講述します。

講義の目的

量子効果の影響が無視できない、極低温での特異な振舞いである超電導現象の理解、エネルギー有効利用の観点からみた超電導応用についての考察をとおして、超電導の基礎から極低温システムに至るまでの幅広い見識を養うことが目的です。
以下が本講義の達成目標です。
1.超電導現象の性質および極低温発生の原理が説明できるようになる。
2.産業用機器における簡単な熱設計計算が電卓を使ってできるようになり、超電導・極低温応用として工学上必要になる技術開発要素を自分なりに見つけ出せるようになる。

講義計画

    1. 4/7 絶対零度への道、超電導の歴史 (岡村)
    2. 4/14  超電導の性質 -超電導現象とは- (岡村)
    3. 4/21  超電導の理論 -なぜ電気抵抗が0になる?- (岡村)
    4. 4/28  超電導線の貌 -工夫された超電導線- (岡村)
    5. 5/12  冷凍技術 -実在気体ゆえに冷える- (岡村)
    6. 5/19  超流動ヘリウム -粘性0、超熱伝導?- (岡村)
    7. 5/26  前半の演習 (岡村)
    8. 6/2  極低温冷媒の性質 (栗山)
    9. 6/9  極低温の断熱技術 (栗山)
   10. 6/16  極低温冷凍機の原理 (栗山)
   11. 6/23  極低温冷凍機の応用 (栗山)
   12. 6/30  極低温と超電導技術 (栗山)
   13. 7/7  超電導応用技術 (栗山)
   14. 7/14  後半の演習 (栗山)
   15. 7/21  予備

教科書・参考書等

とくに指定しませんが、以下が参考図書です。
「超電導・低温工学ハンドブック」低温工学協会編、オーム社
「超電導工学」電気学会、オーム社
「超電導入門」A.C.ローズ、E.H.ロディリック著、産業図書
「低温工学概論」荻原宏康著、東京電機大学出版局
OCW-iにも講義資料を掲載しています。

関連科目・履修の条件等

特にありませんが、伝熱工学、電磁気学の基礎レベルの知識が必要となります。

成績評価

演習およびレポートで評価します。
岡村と栗山の担当分をそれぞれ50点満点として、合計で100点満点とします。

担当教員の一言

 前半では、超電導の性質や極低温の発生に必要な専門基礎に関する授業のほかに、超電導現象の発見や冷却技術の発展の過程で、実験でのある失敗が重大な発見のきっかけとなった例、ちょっとしたヒラメキがノーベル賞のきっかけとなった例、逆転の発想が実用化へ結びついた例、高校まで物理で習う理想状態でなく実在の状態(性質)をうまく利用した例なども紹介します。
 後半では、学部で習う伝熱や熱力学の基礎を、実際の極低温機器の設計に適用する試みとして、電卓を使った演習も行います。
*授業に電卓を持参してください。断熱など熱設計に関する計算をします。
また、超電導現象や超電導機器の実用例などを紹介するビデオや、最新の技術動向や研究結果の紹介をできるだけ多く講義に盛り込みます。
オフィスアワーはとくに設けていませんから、質問等あれば、岡村にメール(tokamura@es.titech.ac.jp)か居室(G3棟4階412号室)まで来てください。

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