社会イノベーションとは、政府、企業、NPOなど、従来の単一セクターによる取り組みでは解決することが難しい社会的課題や身近な社会問題に対して、革新的・独創的なアイディアをもって新たなソリューションを提供することである。社会イノベーションにおいて中心的な役割を果たす非営利組織や社会起業家の具体的な事例を、第一線で活躍する社会起業家を講師に招いて議論することを通して、社会イノベーションにつながるソリューション形成プロセスを学習する。博士後期課程ノンプロフィットマネジメントコースの学生の必修科目である。なお、社会起業家による講演は、広く一般に公開する公開講座形式とし、社会工学専攻のみならず他専攻の学生や、学外者の参加も歓迎する。
社会イノベーション事例において中心的な役割を果たす活動家をSocial Entrepreneurs(社会起業家)というが、彼らの活動形態や事業モデルは、解決しようとする社会的課題やその事業分野によってきわめて多岐にわたる。日本国内で活動する社会起業家を講演者として招聘し、具体的な事例を題材とした議論を中心に、社会起業家と社会イノベーションについての理解を深める。
また、受講者は、本講義の最終課題として、世界の社会起業家支援組織による表彰事例などを参考に、社会起業家による社会イノベーションの事例研究をまとめる。
講義計画
* 後期8日間(合計15講義)の集中講義
* 講義教室は西9号館607セミナールームを予定
* 日本国内で活動する社会起業家6名を講演者として招き、1時間の講演と1時間のディスカッションを行う。社会起業家による講演部分は、全6回の公開講座として一般に公開する。
* 講義のスケジュールは以下のとおり。
第1回 講義<履修登録者のみ・非公開>
2011年11月11日(金)18:30~21:40
社会イノベーション学術研究動向に関する講義
課題について(公開講座各回の感想レポートおよび海外社会起業家事例調査)
第2回 公開講座①
2011年11月18日(金)18:30~21:40
「〝見える化〟への挑戦」
-子どもたちを見守るハートとウェブカム―
[講師] 木田 聖子 (株式会社 チャイルドハート 代表取締役社長)
第3回 公開講座②
2011年12月2日(金)18:30~21:40
「広がり続ける『+防災』プロジェクト」
―アート、スポーツ、キャンプなど―
[講師]
永田 宏和 氏 (NPO法人 プラス・アーツ 理事長)
第4回 公開講座③
2011年12月9日(金)18:30~21:40
「ポラリス・プロジェクト」
―人身売買後進国ニッポンを変える挑戦―(仮題)
[講師]
藤原 志帆子 氏 (NPO法人ポラリスプロジェクトジャパン 事務局)
第5回 公開講座④
2012年1月20日(金)18:30~21:40
「若者に新しい果実を」
―高等教育イノベ-ションとクリエイティブ産業振興で生み出す若者たちの希望―
[講師]
山本 繁 氏 (NPO法人 NEWVERY 理事長)
第6回 公開講座⑤
2012年1月27日(金)18:30~21:40
「よみがえる水の都・三島」
―徹底した地域資源の利活用と日本初のグラウンドワーク―(仮題)
[講師]
渡辺 豊博 氏 (NPO法人 グラウンドワーク三島 事務局長)
第7回 公開講座⑥
2012年2月3日(金)18:30~21:40
「生きにくい社会を変える若い力」
―関西発・日本の社会起業家支援―
[講師]
赤澤 清孝 氏 (NPO法人 edge(エッジ) 事務局長)
第8回 講義<履修登録者のみ・非公開>
2012年2月10日(金)18:30~21:40
課題のプレゼンおよび提出
<参考文献>
J. Gregory Dees, Jed Emerson, Peter Economy, Strategic Tools for Social Entrepreneurs: Enhancing the Performance of Your Enterprising Nonprofit, John Wiley & Sons, Inc., 2002.
David Bornstein and Susan Davis, Social Entrepreneurship: What Everyone Needs to Know, Oxford University Press, 2010.
『社会イノベーション事例集2008』内閣府経済社会総合研究所編(2008)
『社会イノベーション事例集2009』東京工業大学大学院社会工学専攻 国際的社会起業家養成プログラム編(2010)
社会起業家による講演は、広く聞いてもらいたいので公開講座とし、社会工学専攻のみならず他専攻、学外者の参加も歓迎する。
* 公開講座での議論参加・発言および各回の感想レポート50%
* 最終課題レポート50%(課題テーマは第1回講義にて発表予定)