社会工学特別講義第二   Special Seminar in Social Engineering II

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担当教員
森田 明彦 
使用教室
集中講義等   
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
68502
シラバス更新日
2009年10月6日
講義資料更新日
2009年9月28日
学期
後期

講義概要

その時々の社会的な話題について,現実世界における社会工学の実践を通じて,社会工学的問題解決のあり方を学ぶものである。履習希望者は,あらかじめ社会工学専攻の教務担当教員まで申し出ること。

Those who are interested in this seminar should apply to a member of the faculty who are responsible for the curriculum.

講義の目的

私たちが現在生きている地球上には190以上の主権国家が存在します。この主権国家という制度が確立されたのは1648年のことであると言われています。この主権国家の集合体が国際社会であると永年考えられてきました。国際社会は、英語ではinternational societyと呼ばれています。Interとは「~の間」、nationalはnationの形容詞ですが、このnationは「国家」のことです。要するに、international societyとは「国家-間-社会」という意味だったのです。
ところが、近年、この国際社会には国家だけではなく、国連や世銀などの多国籍組織、企業、国際NGOそして社会起業家と呼ばれる人々・組織を含む様々なプレイヤーが登場しています。
同時に、この多様なプレイヤーが遵守すべき国際的規範としての人権の重要性も増しています。
この授業では、この国際社会の変容とその中で人権規範が果たしてきた役割を具体的な事例に基づき、経済史、社会史そして思想史的視点に基づき学んでいきたいと思います。

講義計画

「グローバルソサエティーの新たな様相」(全14回)
この講義では、国際社会における政府(地方自治体を含む)、政府間機関(国連・世銀・EUなど)、企業とNPO/NGO(社会起業家を含む)との協働がどのように進められているのか、具体的な事例に基づき説明を行うと同時に、多元化する国際社会で必要とされている多文化主義の思想を巡る今日的課題について検討していきたいと思います。

教室:西9号館204号室

10月16日(金)15:00~18:10(この日のみ、15:00開始とします)
第1回 日本政府とNGOの協働(インターネットを利用した子どもと青少年の性的搾取問題と対策)
第2回 EUとNGOの協働(インターネットを利用した子どもと青少年の性的搾取問題と対策)
【リーディングアサインメント】
Violence Against Children in CyberSpace, mainly pp.12-15,
<http://www.ecpat.net/EI/ICT_Publications.asp>

10月30日(金)13:20~16:30
第3回 国際人権委員会とNGOの協働(国連子どもの権利条約とNGO)
第4回 国際人権委員会とNGOの協働(国連子どもの権利委員会への個人通報制度)
【リーディングアサインメント】
Initiative for a Communications procedure under the CRC Briefing Pack - June 2009
(will be distributed on Oct.16th)

11月13日(金)13:20~16:30
第5回 企業とNGOの協働(子どもの性的搾取に対する取り組み:Code of Conduct)
第6回 企業とNGOの協働(ボディショップの取り組み)
11月27日(金)13:20~16:30
第7回 国連とNGOの協働(地球環境問題)
第8回 国連とNGOの協働(UNFCCCとNGO:コペンハーゲンCOP15に向けた取り組み)
12月11日(金)13:20~16:30
第9回 地方自治体とNGOの協働(Child Friendly City Initiative)
第10回 地方自治体とNGOの協働(子どもオンブズパースン、国内子どもの権利委員会)
1月8日(金)13:20~16:30
第11回 国際開発金融機関とNGOの協働(世界銀行)
第12回 国際開発金融機関とNGOの協働(GEF)
1月25日(金)13:20~16:30
第13回 グローバルソサエティと国際人権レジーム
第14回 東アジア人権共同体の可能性

教科書・参考書等

森田明彦『人権思想をひらく-チャールズ・テイラーとの対話』(藤原書店、2005年)
<参考文献>
ルドルフ・フォン・イェーリング『権利のための闘争』岩波文庫(岩波書店、1982年)
チャールズ・テイラー、田中智彦訳『<ほんもの>という倫理』(産業図書、2004年)
チャールズ・テイラー、佐々木毅他訳『マルチカルチュラリズム』(岩波書店、2002年)

関連科目・履修の条件等

特にありません。

成績評価

小レポート 30%(毎回の授業の最後にA4で1枚のレポートを書いてもらいます)
授業への参加度 40%
最終レポート  30%(3000字程度のレポートを書いてもらいます)

担当教員の一言

外務省における私の大先輩で、日本における戦略論の草分け的存在である岡崎久彦さんは、今後10年間の世界の動きを予測するには、過去100年間の歴史を学ぶことが必要であると言われました。
今日の私達にとってもっとも重要なテーマの一つは、グローバリズムと呼ばれる現象はどのようにして生まれ、発展してきたのかを学び、どこへ向おうとしているのか、あるいは何処へ向うべきなのかを深く考えてみることだろうと思います。
この講義では、国際社会のプレイヤーである政府、政府間機関、NGO/NPOの具体的な事例に基づき、この課題を歴史的な視点から考える力を醸成することを目指したいと思います。

【教員プロフィール:森田明彦】
東北大学文学部(西洋史専攻)卒。博士(学術)。専門は政治思想、社会学。

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