めざすは読書力。本を読む力。
「史書」という独立の言葉があるくらいに、歴史書は多彩で豊饒。だから、1000ページ、読んでいただきます!
山室自身がおもしろい! と太鼓判の史書を50冊用意します。借り出し自由。この50冊のなかから、10冊以上かつ1000ページ以上、という条件で読書レース開催。1冊ずつ律儀に通読しても、数章ずつ浮気につまみぐいしても(特にこれを推奨)、極端な話、20ページずつ全冊読んでもOK。
その読書体験をWebにサイトを立てて受講者全員で共有しようという、本学初の挑戦を秘めた新講義です。
本ギライのかたの参加をお待ちしています。
ターゲットは欲張りにも2つ。狭い歴史学の分野を超えて、受講者の将来の学問体験の支えとするべく設計した。
その1 方法論の自覚
インタビューもアンケート調査も不可能な、はるか時の靄のかなたが対象。歴史学という学問が宿命的に担う制約は、他のどの社会科学にも比して、対象へのアプローチの方法論をきびしく鍛えてきた。
なかでも傑出した特徴を示す歴史家たちの門を叩き、彼らがそれぞれに苦心して編み出した方法論のエッセンスを受けとり、自分自身の方法論を模索するきっかけとする。
その2 濫読(らんどく)の愉悦
「史書」という独立の言葉があるくらいに、歴史書は実は多彩で豊饒。だから、1000ページ、読んでいただきます!
→くわしい趣旨は「講義ノート」参照。
指定書50タイトルのなかから10タイトル以上にわたり計1000ページ以上を読破し、その足跡をWeb上に残すこと
たとえば――
「地中海は、ぶどうとオリーブの木の織りなす風景や都市化した村々、つまり地中海のふさとしての周辺部だけでなく、あの密度の濃い高地の国、城壁に囲まれ、わずかな家と小部落があり、垂直に北を向いている人々のいる、高いところにある世界でもある。」(フェルナン・ブローデル『地中海』)
「ナショナリズムとは、第一義的には、政治的な単位と民族的な単位とが一致しなければならないと主張する一つの政治的原理である。」(アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』)
比べてみれば一目瞭然。ゆたかに想像の翼をひろげてゆくか、すっきり論理の筋を立ててゆくか。歴史家ごとに全く流儀を異にする。自分はどの流儀にいちばん感応できるか? 読書遍歴を重ねてゆくことで、自分自身の方法論を鍛えていってほしい。何はともあれ、本物の凄さを体感していただければ幸い。