公共システムデザイン特論   Organization Theory for the Public Sector

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担当教員
坂野 達郎 
使用教室
 
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
66089
シラバス更新日
2014年9月29日
講義資料更新日
2014年9月18日
学期
後期

講義概要

講義の前半は、価値多元性とリスク問題に対する近代合理主義の限界、近代合理主義に代替する討議合理性、及び討議合理性にもとづく意思決定モデルについて理解を深めます。具体的には、まず、近代合理主義的意思決定モデルに対する代表的批判である、アドボキャシーとインクレメンタリズムについて学びます。続いて、討議合理性にもとづいた意思決定モデルについて、ミニ・パブリックスを活用した社会実験をとおして学びます。後半では、公的セクターにおける組織理論を学びます。まず、官僚制とテイラーリズムについて学びます。これらが、近代以降の社会の編成原理としていかに根深く浸透しているかを理解することが、代替的組織編成原理を構想する力の基礎になります。続いて、反テイラーリズムの組織論について学びます。鍵になるのは、内発的動機付けをいかに取り込んだかという点です。以上の経営組織論の変遷をもとに、ニューパブリック・マネジメントという20世紀後半から広まった行政改革について理解を深めます。ニューパブリック・マネジメントという行政改革は、脱官僚制という組織内改革の側面と同時に、準市場や社会起業の活用といった行政組織の枠を越えた改革の側面を持っています。そこで、講義の最後では、そもそも、国家と市場のどちらとも異なる非営利組織がなぜ存在するのか、公的ザービスの供給においてなぜ非営利組織が効率的なのか、制度とインセンティブの観点から理解します。

講義の目的

価値多元性とリスク化する社会にあって、近代合理性にもとづく社会デザインの効率性と正当性に疑問が投げかけられるようになりました。それに伴い、近代合理性を最も体現してきた意思決定の形式である計画とその延長線上にある組織編成原理=官僚制に対する見直しが行われてきました。だたし、代替的メカニズムを理解しデザインするためには、これまでの原理が何であったのか明確に再認識することが不可欠です。古い原理の正しい理解の上に、代替原理を提案する知識とセンスを身につけることがこの講義の目的です。

講義計画

1 イントロダクション
●PartI:合理性をめぐる諸問題と意思決定のスタイル
2 シノプティック・モデルと近代合理性
3 アドボキャシーと実証主義批判
4 社会的構築物としてのリスク
5 インクレメンタリズムと価値多元性/限定合理性
6 実験社会と進化論的認識論
7 ミニ・パブリックスと討議合理性
8 公共圏とDirectly Deliberative Polyarchy
●PartII:公的セクターの組織理論
9 プリンシパル=エージェントモデルと官僚制、テイラーリズム
10組織論における内発的動機とチームの再発見
11: ネオ・テイラーリズム、反テイラーリズム、ソシオ・テクニカルアプローチ
12: ニューパブリック・マネジメントとMBO、PBM、CP
13: 非営利組織の経済理論:中位投票、契約の失敗
14: 準市場と混合市場
15: 企業家の経済理論と社会企業家

教科書・参考書等

課題及び補足資料は,毎回提示します。

関連科目・履修の条件等

特になし

成績評価

授業での発言、期末レポートをもとに評価します。

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