価値システム専攻は,「価値判断と意思決定の科学」をめざす世界でもきわめてユニークな大学院専攻である。本講義では,この新しい科学の理念,研究方法,予想される研究成果などについて論じる。形式は,価値システム専攻教員がリレー式講義で行う。「価値システム学」の入門となる講義である。
価値判断と意思決定に関して,価値システム学構築の展望を論じるのが目的である.価値システム学は,理論と実践の融合と,文理融合という大きな特徴を持つ.そこで,本講義では全体を2群に分け,それぞれの特徴について深く掘り下げた議論をおこなう.
特に本年度は「善・悪」という共通テーマについて議論を行う.*2013年は「幸福・平等」
前半は理論と実践の融合に焦点をあて,後半は文理の融合に焦点をあて,議論をおこなう.受講者は,専攻教員が価値システム学という新しい領域をどのように設計し,つくりあげているのか,複眼的な観点から学習することができるであろう.そして受講者自身が築きあげるのはどのような価値システム学であるのか,意義深い洞察を得ることになるだろう.
理論と実践の融合グループ
4月10日 金子宏直 ガイダンス+「法律学における善・悪の意義」
4月17日 桑子敏雄 「善と悪の哲学」
4月24日 上田紀行 (未定)
5月 1日 伊藤亜紗 「芸術か?犯罪か?」
(5月8日は火曜授業日)
5月15日 蟹江憲史 (未定)
5月22日 谷口尚子 「世論調査に見る善・悪の判断」
5月29日 池上雅子 「原爆投下決定再検証」
6月5 日 前半総合討議
文理融合の方法論グループ
6月12日 猪原健弘 「決め方の決め方」
6月19日 中丸麻由子 「進化から見た善と悪」
6月26日 江川緑 「現場に学ぶ」
7月 3日 劉岸偉・戦暁梅「異文化理解における善と悪」
7月10日 坂野達郎 「信頼研究から見た善と悪」
7月17日 後藤美香 「エネルギー利用にかかわる善・悪」
7月24日 後半総合討論
7月28日(月)レポート提出期限
講義の中で参考書を紹介する.
価値システム専攻生および価値システム専攻を副専門とする者だけが履修できる.
出席点とレポートで行う.
1) 成績は出席状況とレポートによって評価する.重みづけはそれぞれ0.5である.
2) レポート課題:自分の関心がある研究テーマを前半と後半それぞれのグループから一つずつ選び,前半と後半それぞれの総合討論での議論を考慮に入れた上で,合計2本の独立したレポートを作成せよ.選んだテーマに対する価値システム学的アプローチを述べ,有効性と限界について議論せよ.各2,000字以上.A4サイズ(1枚1,000字程度)で提出.図表は1枚200字で換算.
3) レポートを提出する教員の指定:2本それぞれのレポートについて,グループの中で自分の選んだ研究テーマに関連している教員2名を選び,表紙に明記し,提出すること.レポートの評価は,①講義内容の理解,②講義相互間の関連性について考察,③考察の深さ・独自性,により行う.
(提出されたレポートの評価とは別に,教員からレポートに関するコメントが返される場合がある)
4) 提出先:西9号館2Fにある本講義レポート提出用のメール・ボックス
5) 提出期限:2014年7月28日(月)17:00