教育開発と評価   Educational Development and Evaluation

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担当教員
中室 牧子 
使用教室
集中講義等   
単位数
講義:1  演習:0  実験:0
講義コード
65011
シラバス更新日
2014年10月8日
講義資料更新日
2014年9月18日
学期
後期

講義概要

本講義では,発展途上国の教育開発を考える上で必要な知識および手法を身に付けることを目的とする.授業では,発展途上国の事例を取り上げるだけでなく,発展途上国の教育開発と評価を分析するにあたって,アメリカや日本など先進国における経験や研究蓄積についてもあわせて学び,今後の発展途上国の教育開発にどのように応用すべきかを議論する.また本講義では,応用経済学の一つである教育経済学の学問的基礎を習得することも一つの目的としている.経済学や統計学のバックグラウンドは必要としないが,データを用いた実証的な研究の解釈を中心に紹介することとなる.また授業で用いる言語は日本語であるが,スライドの資料などは英語が中心となる.

講義の目的

本講義では,発展途上国の教育開発を考える上で必要な知識および手法を身に付けることを目的とする.さらに,応用経済学の一つである教育経済学の学問的基礎を習得することも一つの目的としている.

講義計画

本講義は,集中講義形式で行う.
2014年度は,10月18日(土)9:45〜16:35,10月25日(土)9:00〜16:35に授業を実施する.
講義室は,いずれの日も西9号館2階202号室である.

1. 教育機会の男女平等-教育経済学的なものの見方は何を明らかにするのか
本セクションでは,何故開発途上国における女子の教育参加率が低いのかということを経済学的な理論を用いて解説し,なぜ女子の教育機会を保障することが開発途上国の経済発展につながるかということをインドのケララ地方の事例を用いて解説する.

2. 回帰分析の実際
本セクションでは,教育経済学における過去の研究を理解するために,基本的な回帰分析の手法を学ぶ.(これまでに計量経済学や統計学が既習である必要はありません).

3.「お金」をかければ教育はよくなるか?-教育生産関数の議論
本セクションでは,発展途上国における子どもの学力を上昇させるために,学校の設備や資源にお金をかけることが有効かどうかについて議論する.米国の公立学校を対象にしたコールマンやハヌシャックの研究と開発途上国を対象としたハイネマン・ロクスレイの研究結果を比較する.

4. 条件付き現金供与という政策
本セクションでは,政府の教育支出と家計の所得の関係について学ぶ.メキシコで実際に行われ,現在では30以上もの発展途上国で実施されている条件付き現金供与(Conditional Cash Transfer)という政策が,貧困削減と教育開発にどのような役割を果たしたかについて解説する.

5. 政策評価の新しい手法-ランダム化比較試験
本セクションでは,最近の開発政策評価の試金石といわれる「ランダム化比較試験」と呼ばれる方法のアイデアと実際を学び,なぜランダム化比較試験がこれまでの開発政策評価と比べて優れているかについて考察する.また,ランダム化比較試験を用いて行われた開発政策の評価―特に,アメリカのMITの貧困アクションラボが行った実験と評価を中心に―を紹介する.

6. 何に「お金」をかければ教育はよくなるか?-費用効果分析
本セクションでは,開発政策評価に頻繁に用いられる費用効果分析の概要について学ぶ.これまで学んだ回帰分析の手法と,ランダム化比較試験の手法を用いた教育政策評価から,実際の費用効果分析をどのように行うかを解説し,その結果について議論する.

7. 妊婦や就学前児童の健康を守る
本セクションでは,貧困削減の最重要課題の一つが,乳児死亡率の低下であり,そのために妊婦の健康や栄養状態が大切であることを学ぶ.また生まれてからも,低体重や栄養失調の子供は,その後の人生に不利であるというさまざまなエビデンスを紹介する.

教科書・参考書等

・「貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える」 Abhijit Vinayak Banerjee(原著), Esther Duflo(原著), 山形浩生 (翻訳)
・「エコノミスト 南の貧困と闘う」William Easterly (原著), 小浜 裕久 (翻訳), 冨田 陽子 (翻訳), 織井 啓介 (翻訳)
・「貧困の終焉―2025年までに世界を変える」 Jeffrey D. Sachs (原著), 鈴木 主税 (翻訳), 野中 邦子 (翻訳)
・「教育の費用効果分析―学校・生徒の教育データを使った政策の評価と立案」 Henry M. Levin (原著), Patrick J. McEwan (原著), 赤林 英夫 (翻訳)

関連科目・履修の条件等

特になし

成績評価

講義への参加状況,発表,講義の最後の課題についてのレポートを合わせて,以下の割合で評価する.
出席および討議への貢献度合い 40%,アサイメント1 20%,アサイメント2 40%

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