様々な要素からなる複雑系としての環境システムの定量的な理解や予測には,数値シミュレーションが不可欠なツールになる。
この「環境数値シミュレーション1」では,下記のように,まず,環境数値シミュレーションの基礎に関して講述し,ついで,流体問題を中心として気流,熱,空気汚染などの各種実用問題への応用例を紹介する。
1.基礎編 (各種物理現象と基礎方程式,離散化とその解法)
2.応用編 (複雑形状問題への展開,屋内外環境問題への適用事例)
屋内外の温熱環境,大気環境などを形成する熱輸送,物質輸送,化学反応などの現象解析 手段としてコンピュータを利用した数値シミュレーション技術が多用されている。本講義 では,流体問題を中心として気流,熱,空気汚染などの数値シミュレーション技術の基礎 を概観するとともに各種実用問題への応用例を紹介する。
1.流体現象の基礎および各種物理化学現象との関係
・移流拡散方程式,運動量方程式,圧縮性流体と非圧縮性流体,各種輸送現象
2.基礎方程式の離散化とその解法
・差分法,有限体積法,有限要素法,定常解析と非定常解析の手法
3.乱流モデルとその応用
・時間平均モデル,空間平均モデルの基礎および適用法
4.格子分割法と複雑形状問題への展開
・一般曲線座標系,格子分割手法,構造格子と非構造格子
5.コンピュータグラフィックによる現象の可視化
・コンピュータグラフィックの基礎,OpenGL によるプログラミング
6.離散現象の数値シミュレーション
・分子動力学法,ダイレクトシミュレーションモンテカルロ法,格子ボルツマン法
7.屋内外環境問題への数値シミュレーションの適用
・各種適用事例の紹介,シミュレーション結果の有効利用,実験とのハイブリット解析
必要に応じて資料配付
特になし
出席とレポート提出
講義内でいくつか簡単なサンプルプログラムを作成する予定である。受講者は個人または 研究室内にプログラムの開発・実行が可能な計算機環境を準備することが望ましい。(推奨 する計算機環境について講義内で説明するが,基本的には任意)