「凸多面体における格子点数え上げ」:数理的な考察によって計算対象の構造がより明確になり,計算の効率性が増す,という事例が数多く存在する.そのような例として「凸多面体における格子点数え上げ」を紹介する.これは計算を軸として,幾何学(凸多面体と格子点),数論 (Dedekind和と有限Fourier級数),組合せ論 (数え上げ)を横断する例になっている.講義では細かすぎる部分に立ち入らず,全体を貫くストーリーに重点を置くが,残された詳細は毎回演習問題で補完する.多くの未解決問題が残されているので,それらを通して研究方向を体得できるようにする予定である.
数理的な考察によって計算対象の構造がより明確になり,計算の効率性が増す,という事例が数多く存在する.そのような例として「凸多面体における格子点数え上げ」を紹介する.これは計算を軸として,幾何学(凸多面体と格子点),数論(Dedekind 和と有限Fourier 級数),組合せ論(数え上げ) を横断する例になっている.講義では細かすぎる部分に立ち入らず,全体を貫くストーリーに重点を置くが,残された詳細は毎回演習問題で補完する.また,講義は途中に適宜質問の時間を設けて,インタラクティブに行なう.
各回の内容は以下を予定している.
1. 導入
2. Frobenius の硬貨交換問題
3. 凸多面体とEhrhart 級数
4. Ehrhart 理論(1)
5. Ehrhart 理論(2)
6. 相互法則
7. Dehn-Sommerville 関係式
8. 魔方陣の数え上げ
9. 有限Fourier 解析
10. Dedekind 和
11. 多面体の錐分割
次の書籍に従って講義を進める.
Matthias Beck and Sinai Robins, Computing the Continuous Discretely. Integer-Point Enumeration
in Polyhedra. Undergraduate Texts in Mathematics. New York, Springer. 2007. xviii, 226 p. (日
本語訳「離散体積計算による組合せ数学入門(仮)」,岡本吉央訳,2009 年出版予定.)
特にないが,理工系大学生が自然と身に付けている数学的な記法の用い方や証明における推論に慣れていることは仮定する.例えば,微分積分や線形代数に関する知識は仮定する.しかし,幾何,数論,組合せ論に関する特別な前提知識は仮定しない.アルゴリズムやプログラミングに関する前提知識も仮定しないが,それらに関する基礎を有していると理解が進む場面もあるのでご了解願いたい(しかし,アルゴリズムやプログラミングがこの講義の本題ではない).計算の立場から数学を勉強したい学生を歓迎する.
レポートによる.