ブレイン・サイエンス   Brain Science

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担当教員
一瀬 宏 
使用教室
木3-4(B223)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
78034
シラバス更新日
2008年5月7日
講義資料更新日
2008年5月7日
アクセス指標
学期
前期

講義概要

精神や神経活動を統御する中枢としての脳を理解するためには,解剖学・電気生理学・生化学・分子生物学などの幅広い知識が必要になる。現在の科学で脳の理解がどこまで進んでいるか,それぞれの分野の最先端にいる研究者を講師に迎えて基礎からトピックまで幅広く講義する。

講義の目的

各回の講義内容

4月10日、17日、24日
「NOと脳」   昭和薬科大学 薬理学教室教授 渡邊 泰男 先生
・ダイナマイトの発明から1世紀を経て、「公害」から「長寿」の分子へと汚名を返上した“NO”というガス状の分子について、最近の知見を含めて解説
・脳神経領域(脳梗塞・変性疾患・記憶)におけるNOの功罪について

5月1日 休講
5月8日 金曜日の授業の日

5月15日、22日、6月5日、12日
    聖マリアンナ医科大学医科学専攻脳情報制御医学分野
                教授 松井 宏晃 先生
 精神医学は人間の存在を、生物学的、心理学的、社会的、倫理的の各次元の階層的構造として捉えています。実際の精神障害(こころの悩み・病い)では、(1)高次脳機能の障害(神経生物学的特性)と(2)個人を取り巻く心理・社会的因子(環境要因)などが複雑に絡み合っており、「病む人間」として、人格を尊重しつつ、治療を進め、社会適応、社会復帰を目指すことになります。この点に留意しつつ、本講義では、代表的な精神障害について、その成因(原因)や治療法について、最近の神経生物学的研究の成果を交えながら紹介いたします。以前に比較して、副作用が少ない有効な薬物が臨床の場に導入されるようになりましたが、依然として、既存の薬物では十分な治療効果を得ることができない場合もあります。本講義を通して、精神障害への理解を深め、新たな治療法や予防法の確立に繋がるような基礎研究に興味をもって頂けたら幸いです。

・5月15日  不安障害の神経生物学
セロトニン(5-HT)作動性神経に関する神経化学・薬理学的および分子生物学的研究の進展に伴い、不安障害(パニック障害、強迫性障害など)の病態・病因を分子レベルで理解できるようになり、5-HT系の治療薬物が臨床の場で使用されるようになった。5-HT作動性神経系を例に、不安障害の成り立ちとその治療法について概説する。

・5月22日  気分障害の神経生物学
気分障害(うつ病、そう病)の病因・病態に関する神経化学・薬理学的および分子生物学的研究により、気分障害の成り立ちが明らかにされつつある。さらに、気分障害関連遺伝子の探索・多型性解析も急速に進んでおり、将来、これらの研究成果を実際に病気の診断・治療・予防に活用できる可能性がある。ノルアドレナリン作動性神経系や5-HT作動性神経系を例に、気分障害の成り立ちとその治療法について概説する。

・6月 5日  統合失調症の神経生物学
統合失調症は幻覚、妄想、思考の変調を主体とし、その成因は未だ解明されていない。ここでは、統合失調症の病因・病態に関し、脳内ドーパミン(DA)およびグルタミン酸(Glu)作動性神経伝達に関する生化学・薬理学的研究成果に加え、疾患関連遺伝子に関する分子生物学・遺伝学的な研究の成果を紹介したい。

(5月29日は松井先生が学会出席のため休講)

・6月12日  認知症の神経生物学
老年期は、身体的にも社会的にも大きな転換期である。わが国では急速な高齢化が進んでおり、それに伴い増加する認知症の病因解明・治療法の確立が急務となっている。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などに代表される神経変性疾患による認知症に関する最近の知見を紹介する。

6月19日、26日、7月3日、10日
        共立薬科大学 名誉教授 川島 紘一郎 先生
・末梢コリン作動性神経系の基礎
・非神経性のコリン作動系と,免疫系のコリン作動系

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