【内容】
次世代生物学のためのバイオインフォマティクス
― 生物についての大きな未解決問題の解決に向けて ―
タンパク質・遺伝子配列からの構造・機能予測を中心としたバイオインフォマティクスに関し、原理の詳細・ソフトウエアシステムを含めわかりやすく解説する。
生物という柔らかい機械の原理・基礎・応用という観点からの最先端の新しい展開も紹介する。
ゲノム解析を中心とした生物系ビッグデータにより、生物学は新しいステージに踏み出しつつある。情報解析の方向性としては、ボトムアップとトップダウンの統合、メカニズム解明と統計的アプローチの統合、配列空間と実体空間の統合的情報処理、生物の多様性と複雑さのシミュレーションが考えられる。次のようなオープンプロブレムを解決することになるであろう、次世代生物学に向けて議論したい。
(1)生物の起原・進化・多様性、(2)生体分子の構造形成と機能相関、(3)多様な部品を調和的に組み合わす生命システム、(4)ゲノムと環境と疾患、(5)意識・精神活動。
【講師】
美宅成樹氏は、アミノ酸・遺伝子配列から構造・機能を予測するバイオインフォマティクス分野において、国際的に高い評価を受けている。SOSUIと名付けられた疎水タンパク質構造予測が特に有名であり、初報の引用数は超一流論文の1,000を超えている。
従来のデータベース依存の経験的予測とは異なる、原理的で簡潔な方法で精度を大幅に向上し、大きなインパクトを与えた。
疾患リスクを高精度で予測する、新しい構造・機能予測解析システムの構築へと発展させている。
生命情報に関する最先端の研究内容を、その分野の第一人者から直接講義を受ける。
集中講義
10月29日(水) 3~10時限(10:45~)
11月05日(水) 3~ 9時限(10:45~)
講義室:B224
講師:美宅 成樹 氏(Dr. Shigeki Mitaku)
名古屋大学工学部名誉教授、豊田理化学研究所客員フェロー
オープンセミナー 11月05日(水)15:00~16:30 [講義時間中]
大容量情報時代の次世代生物学 ――生物学における禅問答――
参考書
1.ゲノム系計算科学 ―バイオインフォマティクスを越え,ゲノムの実像に迫るアプローチ― (計算科学講座 7),
美宅 成樹 他,共立出版 (2013/1/23)
2.生物とは何か? ―ゲノムが語る生物の進化・多様性・病気―,美宅 成樹,共立出版 (2013/3/8)
理系一般向け
3.Webで実践 生物学情報リテラシー,美宅 成樹 他,中山書店 (2013/8/20)
バイオインフォマティクスをWebで基礎から学べる実践書
特に無し
出席とレポート
美宅先生は、とても味わい深い講義をされる先生です。
例えば、著作が専門書にとどまらず、小学生にも人気の書籍を含む一般啓蒙書も多く世に出し、どの読者層に対してもわかりやすい説明力に定評があります。
構造・機能予測に関するバイオインフォマティクス分野の第一人者である美宅先生から、啓発に富むお話しを聴くことができると思います。