環境・電力エネルギー特論   Environment and Electric Energy

文字サイズ 

担当教員
西村 正  冨永 真志 
使用教室
木5-6(S321)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
50147
シラバス更新日
2011年10月4日
講義資料更新日
2011年9月20日
学期
後期

講義概要

社会インフラ産業や電力エネルギー産業はコモディティのような速い動きではなく,また,規制や公的インセンティブの影響下にあるが,やはり市場経済の中で動くものである.
今般の再生可能エネルギー特措法や雇用促進を目指した各種のグリーン法案も市場経済への軟着陸がなければ果実は得られない.
そこで,本講義では,まず市場に対処する事業者の基本姿勢,日本が置かれたローカル/グローバルの市場環境変化を学び,その視点を通してその後の電力エネルギー政策,電力エネルギー技術,環境政策,環境・省エネの動脈技術,廃棄・浄化の静脈技術,情報ネットワークと電力送配電ネットワークを融合する新しいスマートグリッド構想,そこで必須となる蓄電池技術,パワーエレクトロニクスの現状について,それぞれ単位ごとに講義する.加えて,環境面で重要性を増してきた水をめぐる状況と関連するビジネス,浄化技術について概説する.

講義の目的

20世紀の旺盛な経済成長の結果,排出される温暖化ガスや廃棄物の回収,浄化に環境が追いつかなくなっている.人々の生活水準の向上には経済成長が不可欠だが,環境に配慮した持続可能な成長でなければならない.
電力エネルギーは経済成長の根幹であるが,環境負荷を生じる源でもある.化石燃料による発電の効率向上を進める一方で,温暖化ガスの発生を抑制するために,我が国では原子力発電の比率を高め,また再生可能エネルギーの導入を促すエネルギーミックスが推し進められてきた.しかし,本年3月の東日本大震災による福島第一原発の重大被災を受け,原子力発電に対する評価,その環境への負荷に対する関心が一変する事態となった.深刻なエネルギー不足が生じるなか,消費者としての価値観,産業人としての価値観も変わりつつある.
我が国は2度の石油危機を乗り切り,深刻な公害を克服して,世界でも有数の環境に配慮した経済成長を実現してきている.今,次のステップとして持続可能な循環型社会に向け,仕組みの構築と技術・人智が結集されつつあるが,今年の変化を受け止め,21世紀の環境・電力エネルギーの 開発がいかにあるべきか,自ら考え発信するために,最新の環境・電力エネルギー技術動向を学び,専門的かつ幅広い知識ベースとすることを講義目的とする.

講義計画

01. オリエンテーション,事業視点論Ⅰ(事業者責任)  
02. 事業視点論Ⅱ(市場のイノベーション/市場環境)
03. 電力エネルギー・各国政策
04. 電力エネルギー・日本の対処
05. 新エネルギー技術
06. スマートグリッド
07. 蓄電池技術とエネルギー変換
08. パワーエレクトロニクス
09. 環境問題Ⅰ(循環型社会へ向けて)
10. 環境問題Ⅱ(カーボンフリーへの技術的対処)
11. 水ビジネス,水浄化・大気浄化技術
12. エネルギー自由化時代,復習Ⅰ,グループ討議グループ分け
13. 復習Ⅱ・グループ討議オリエンテーション
14. グループ討議
15. ディスカッション,講評

教科書・参考書等

講義において資料を配布する.

関連科目・履修の条件等

 

成績評価

① レポート提出 2題(年内)
② グループ単位で課題を持ちプレゼンテーションする.

以上に課題で配点する.

担当教員の一言

現在の豊かな生活に不可欠な電気エネルギーは反面で将来の地球環境にも影響している.
電気技術者として持続的成長が可能な循環型社会形成に貢献を期待する.
事業者の視点を学び、情報を自ら整理、判断する力も養ってほしい.

このページのトップへ