パワー半導体は全ての電気機器の電源回路のキーデバイスであり,省エネ・新エネなど環境問題の視点からも注目されている。
本講義では,パワー半導体として,MOSFET,IGBT,GTOサイリスタなどのデバイス構造,動作原理,特性について基本技術を講義する。併せて,パワーデバイスの将来展望,パワーデバイスと信号処理を目的とした半導体デバイスの違い,適用製品分野について説明し,デバイスの高性能化に向けた最新の動向についても講義する。
CO2削減や省エネルギーのキーデバイスとして注目を集めているパワーデバイスの普及は,約30年前の高耐圧バイポーラトランジスタとGTOの日本における実用化を端緒として急速に拡がった。
本講義では今日のパワーエレクトロニクスの発展に至るまでの時々の問題点とその解決方策を具体的に説明する。併せて,パワーデバイスに共通し,信号処理用の半導体デバイスにない特有の物理現象やパワーデバイスの将来展望,製品に不可欠な信頼性の課題,デバイスの高性能化に向けた最新の動向などを解説する。
01. パワーデバイスの最新動向と将来展望
02. パワーデバイスの歴史(水銀整流器からIGBTまで)
03. パワーデバイスの基本動作‐Ⅰ(オフ状態とオン状態)
04. 基本デバイス<pinダイオード>の発展と動作原理
05. 最初のクロージング・デバイス<サイリスタ>の<GTO>への発展
06. パワーデバイスの基本動作‐Ⅱ(アバランシェ動作,安全動作領域)
07. 最初のオープニング・デバイス<パイポーラトランジスタ>の発展と限界
08. 最強のオープニング・デバイス<IGBT>の発展経緯
09. <IGBT>の動作原理と問題点
10.パワーデバイスの極限動作(高温,低温,耐圧,スィッチング速度,破壊)
11.新材料(SiC,GaN,ダイヤモンド)デバイスの歴史と問題点
12.モジュール構造の必然性と発展
13.パワーデバイスの信頼性
14.パワーデバイスの課題と今後(シリコンIGBTの限界,新材料デバイス)
プリントを配布する。
学部の「半導体物性」,「電子デバイス」,「パワーエレクトロニクス」などの関連科目を受講していることが望ましい。
レポートによって成績を評価する。
開発技術者としての経験から,理論よりも具体事例に比重をおいた講義としたい。
【オフィスアワー】
メール(urushibata.h.aa@m.titech.ac.jp)で予約