レーザおよびナノエレクトロニクスの基礎として,電子と電磁波との相互作用および結晶格子中の電子の振る舞いを講義する。密度行列法を用いる光と物質の相互作用,レーザ発振,結合波近似理論による周期ポテンシャル中の電子状態,ヘテロ接合ナノ構造中の電子状態,非放物線性を考慮した有効質量方程式,半導体中の非熱平衡電子波伝搬実証実験。量子力学既履修者を対象とする。
光と物質の相互作用を理解する第一部とナノメートルサイズ構造中の電子の振る舞いを理解する第二部とからなる。
(第一部)物質系を量子論で光を古典論で扱い密度行列法を用いて光と物質の相互作用を記述する。屈折率,吸収・増幅係数を導出し,共振器構造によるレーザー発振を説明する。
(第二部)ブロッホ関数を求めて結晶中の電子の状態を記述する。結合波理論に基づく近似解析により有効質量,群速度,放物線近似バンド構造,有効質量近似方程式を導出し,ヘテロ接合ナノ構造中の電子の振る舞いを説明する。結晶中電子の波動的振る舞いをダブルスリット回折観測により実証したことを述べる。
01. 講義内容紹介(序論)
02. 相互作用ハミルトニアン
03. 光と物質の相互作用
04. 密度行列理論
05. 光増幅利得,クラマースクローニッヒの関係,レーザー発振
06. 周期ポテンシャルとブロッホ関数
07. クローニッヒペニーモデルによる厳密数値解
08. 結合波理論による近似解析
09. ヘテロ接合ナノ構造中の電子
10. 半導体中のホットエレクトロン波伝搬実証
参考書等
量子エレクトロニクスおよびレーザの本,たとえば D.Marcuse, ”Engineering Quantum Electrodynamics” その他,講義中にも紹介する。ただし,一冊で講義全体をカバーしている本はない。
電磁気,半導体物理の基礎知識,特に量子論の基礎的考え方の理解を前提とします。
期末試験
前半は,光がどのようにして物質と相互作用するかを明らかにし,レーザへの応用を学びます。後半は,最先端の微細加工技術を駆使して作製が可能になった超微細人工構造中での電子の振る舞いを調べ,新しいデバイス概念創出の可能性あるいは工学的応用を探るための基礎を築きます。
【オフィスアワー】
質問・相談にはいつでも応じます。
事前に e-mail (furuya@pe.titech.ac.jp) などで予約して下さい。