創形加工学特論   Advanced Course of Materials Processing

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担当教員
大竹 尚登 
使用教室
火3-4(I311)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
40004
シラバス更新日
2010年3月27日
講義資料更新日
2010年3月22日
学期
前期

講義概要

モノづくりナンバーワン国家実現のためには,技術者は革新的な製品を継続的に開発して世の中に提供する必要がある。ここでは先ず,革新的製品とはどのようなものか,技術をどういうプロセスで製品に結びつけるかについて紹介する。ついで,コアとなる各種の要素技術開発と,そのスピードの重要性を述べ,さらに差別化製品をタイミングよく市場に提供するための生産設備,システム,海外とのアライアンスなどを,事例を交えて講述する。また,モノづくり技術で製品を革新した事例,金メダル製品を開発した事例の着眼点,成功要因や効果を明らかにする。

講義の目的

近年の機械・電気・電子部品の微細化と高機能化を支える気相成形と薄膜成長について、その基礎的成形特性と最近の応用例を解説する。薄膜材料は、単原子層から数十μmまでの厚さを有する材料の一形態であり、表面保護膜、光学機能膜、磁性膜、エレクトロニクス素子、医療機器等、様々な分野で広く利用されており、気相成形技術なしにはこれからの情報化社会、環境調和社会は成立しないと言っても過言ではない。本講義では、薄膜の特殊性や必要性など一般的な特徴を概説し、薄膜作製方法、特に各種気相成長法について解説する。さらに,機械的特性をはじめとする薄膜材料の諸特性を評価するための手法についても紹介する。

講義計画

○第1週:ガイダンス・序論
「薄膜」が機械工学者として,また先端技術社会においていかに重要かを論ずる。

○第2週:薄膜・序論
薄膜とは何か、なぜ薄膜という形態の材料が必要とされるのかを概説する。

○第3週:薄膜気相成長法 (1)
真空蒸着法、イオンプレーティング法およびスパッタリング法について、それらの基礎原理と特徴を説明する。

○第4週:薄膜気相成長法 (2)
物理気相成長法(PVD)の代表である真空蒸着法について気体の運動論を用いて薄膜の成長を理論的に説明する.さらに,スパッタリング法について磁場を援用した薄膜作製方法を説明する.

○第5週:演習
PVD法による薄膜気相成長について演習を行う

○第6週(大竹):薄膜気相成長法 (3)
ガス状の原料を用いて、主に化学反応を主体として薄膜成長させる化学気相成長法(CVD)について説明する。

○第7週(大竹):薄膜評価法(1)
結晶構造、化学結合状態、表面官能基、結晶粒界、転位等、材料特性と密接に関わる構造を明らかにする分析手法について、それらの測定原理と特徴を紹介する。

○第8週:薄膜評価法 (2)
実用上重要である電気的、磁気的、光学的および機械的特性を例に、それらを評価する手法について、測定原理と特徴を説明する。

○第9週:演習
CVD法による薄膜気相成長及び各種薄膜特性評価法の原理をより深く理解するための演習を行う。

○第10週:結晶成長のアウトライン
結晶は、半導体だけに限らず多くの物質で実現される。しかし、物質に関わらず、ほとんどの結晶、融液、溶液、気相などから結晶核が析出し、それが次第に大きくなることで成長していく。そして、これらの現象には「駆動力」が必要となる。ここでは、「駆動力」を統計力学・熱力学から理解する。

○第11週:核生成
結晶成長は、核生成により始まる。ここでは、融液などからの三次元的な核生成から、半導体で重要である基板上の二次元的な核生成について理解する。

○第12週:結晶成長機構
結晶成長は、結晶に原子・分子が取り込まれることで進行する。ここでは、原子がどのように結晶に取り込まれていくかを理解する。結晶成長は駆動力の大きさにより、異なる成長メカニズムをとる。ここでは、最初に成長速度の限界を求め、徐々に駆動力を小さくしていくことで、どのような成長メカニズムが発現するかを理解する。

○第13週:第3回演習
結晶の核生成と成長の原理をより深く理解するための演習を行う。

○第14週:将来技術動向
学んだ気相成形技術を含め,広く今後の科学技術の動向を概説し,ディスカッションを行う.

教科書・参考書等

教科書は定めない.資料は授業で配布する

関連科目・履修の条件等

機械材料についての学部レベルの基礎知識を有していること.

成績評価

1)小テスト
2) 演習

担当教員の一言

学部で履修した固相成形と液相成形に加えて,気相成形を修得することで,広い視野を有するものつくり技術者・研究者になっていただきたい.

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