資源・エネルギー・安全論   Resource, Energy and Safety Technology

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担当教員
増田 優  須藤 繁 
使用教室
集中講義等   
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
35013
シラバス更新日
2014年3月28日
講義資料更新日
2014年3月18日
学期
前期

講義概要

持続可能な社会への転換とともに国際競争力の維持向上が求められる21世紀においては、技術革新とともに制度改革や人材改新を連動させて円滑に社会変革を実現して行くことが大きな課題となっている。こうした挑戦に大きな影響をもたらすのが、資源やエネルギーを巡る国際情勢であり、
そして、リスク管理のために構築される社会的規範を巡る国際的な動向である。付加価値の意味などの基本を確認しつつこれら国際的な動向と国際競争力の現状を検証し、持続可能な発展のために日本に必要な技術革新や制度改革や人材改新などの諸々の課題について論じ、社会変革の道を探る。

講義の目的

【講義目的1】
 持続可能な社会への転換とともに国際競争力の維持向上が求められる21世紀においては、技術革新とともに制度改革や人材改新を連動させて円滑に社会変革を実現して行くことが大きな課題となっている。
技術革新と制度改革が深くかかわる分野として化学物質のリスク管理の分野がある。化学物質が開発・生産され社会において広く流通・使用されて排出・廃棄される過程を広い視点でとらえながら化学物質のもたらすリスクを管理する化学物質総合管理の考え方や国際的な枠組みと動向について、生物や放射性化学物質のもたらすリスクの管理との関わりも含めて解説する。
あわせて日本の法律体系と自主管理や経営との関わりについて解説しながら、具体的な事例を通して、持続可能な発展につながる技術革新と化学物質総合管理の係わりについて今後の課題を論じる。

【講義目的2】
資源・エネルギーを巡る変遷は技術革新や社会変革の結果である一方で、資源・エネルギーを巡る国際的な動きは、技術革新を誘発し制度改革や人材改新を伴いながら社会変革をもたらす主要な要因として、各国に大きな影響をもたらしてきた。
技術革新と付加価値や資源・エネルギーとの関わり、日本における技術革新と社会変革の実相、石油危機の実相と危機克服における技術革新の役割、その後の日本社会の変遷と国際石油情勢の変化、近年の石油価格の高騰とその背景およびそれがもたらす影響などについて解説しつつ今後の課題を論じる。
これら国際的な動向と国際競争力の現状を踏まえつつ、持続可能な発展のために、今後、日本に必要な技術革新と制度改革など克服すべき諸々の課題について論じ、社会変革の道を探る。
これらによって、大学生の文理融合的な素養を向上させ視野の拡大を図るとともに、課題の設定と実現の能力の強化を目指す。

講義計画

Ⅰ.付加価値と社会規範(増田優 担当)
  1.付加価値と技術革新
  2.価値創造のためのものづくりと物語づくり
  3.健康リスクと経営リスク
  4.化学物質総合管理を巡る国際的な論議の系譜 
  5.化学物質総合管理の基本的枠組み
  6.化学物質総合管理の社会的な枠組み
  7.自主管理の概念と経営への展開
  8.社会的規範と国際競争力

Ⅱ.エネルギーと資源(須藤繁担当)
  9.石油危機の実相と危機克服における技術革新の役割
  10.技術革新による石油供給力の拡大と環境改善の実相
  11.情報通信技術よる石油産業と安全保障観の変化
  12.近年の石油価格の高騰の背景と影響の実相
  13.持続可能な社会の発展と石油・エネルギー政策の実相
  14.国際石油情勢の実相と日本の将来展望
  15.総合討論

【講義日程】                
  時刻:金曜日第5~10時限(午前13:20~18:10集中講義)         
  日程:2014年
     4月11日(増田・須藤)、18日(増田) 、25日(増田)、5月2日(須藤)、9日(須藤)

教科書・参考書等

【参考図書:増田分】
1.規範科学‐レギュラトリー・サイエンス‐、145-153頁、生命科学概論、2012
                         (朝倉書店 ISBN978-4-254-17151-8)
2.化学物質を経営する、全527頁、2007
                  (化学工業日報社 ISBN978-4-87326-500-1-C0034)
3.化学物質総合管理、71-84頁、地球環境の化学、2006
                           (朝倉書店 ISBN4-354-25599-3)
4.「知の世界」が創る政策の新展開、全267頁、2004
                   (化学工業日報社 ISBN4-87326-436-7-C0034)
5.機能性化学、全257頁、2002
                   (化学工業日報社 ISBN4-87326-394-8-C3040)
6.化学は地球を救えるか、 全254頁、1997
              (化学工業日報社 ISBN4-87326-246-1-C3034)
7.OECDと日本のバイオテクノロジー政策-科学的方先導する安全論議-、
                     全103頁、1997、(バイオインダストリ-協会)

具体的な法案の骨子などより詳細な内容(増田担当分):
1.星川欣孝、化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その15)-化学物質の総
  合管理に関する法 律要綱案- 化学生物総合管理、8(2)、 64-94 、(2012)
2.点の規制から面の管理へ-急を要する指定物質の規制から包括敵 な総合管理への構
  造の転換:2012年7月31日付読売新聞朝刊第14面論点によせて-、化学生物総合管理 
  学会、論議の輪、全5頁、(2012)
3.星川欣孝、化学物質総合管理による能力強化に関する研究(その10)-化審法改正の問
  題点と国会附帯決議への対応の重点- 化学生物総合管理、5(2)、 173-191 、(2009)
4.結城命夫、化学物質総合管理に関する活動評価-2011年度企業活動調査結果-、化学
  生物総合管理、8(2)、144-164、(2012)
5.結城命夫、化学物質総合管理に係るセクターの活動、化学生物総合管理、5(2)、127-
   151、(2009)
6.機能性化学産業の競争力とビジネスモデルの変革‐ポリシーイノベーションが導く素材産
  業から部材産業への展開‐、化学工学、75(8)、490-494、(2011)

知の市場:http://www.chinoichiba.org/
社会技術革新学会:http://www.s-innovation.org/
化学生物総合管理学会:http://www.cbims.net/
化学生物総合管理学会誌:http://www.cbims.net/doc/page1.cgi


【参考図書:須藤分】
1.石油市場の現状と将来-偏在と互恵        
         (世界の動き社 1995年 ISBN4-88112-064-6 C3063)
2.「石油地政学の新要素」
     (同友館 2010年 ISBN978-4-496-04636-0 C2033)
3.「エネルギー白書(2012年版)」
    (http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2012/index.htm)

関連科目・履修の条件等

特になし。

成績評価

1.成績評価は出席状況と最終レポートの評価を加味して行う。
  出席点とレポート点の配分は授業における論議・質疑などに応じ設定。

2.最終レポートの課題、提出期限、提出
  場所などは講義中に指示する。

担当教員の一言

留意事項
1.知識の獲得よりも視野の拡大、問題意識の醸成、課題設定力の向上、
  構想力の涵養そして知的説得(Intellectual Persuasion)能力の強化な
  どに資することを期待。
2.質問大歓迎。自由闊達な論議を期待。

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