半導体の微細加工技術によってナノメートルスケールの系が作製可能となり、基礎、応用両面から研究が進んでいる。そのような系はマクロ(macroscopic)とミクロ(microscopic)の中間と言う意味でメゾスコピック(mesoscopic)系と呼ばれ、電子の量子力学的性質に起因する新現象が次々と発見されている。本講義では半導体ナノ構造における量子輸送現象を中心に、メゾスコピック系の基礎から最近の研究までを紹介する。
(1) 半導体ナノ構造における電子の波動性と粒子性:ランダウアーの公式、電気伝導度の量子化、クーロンブロッケード、量子コンピュータへの応用、他
(2) 量子ドットの輸送特性と近藤効果―人工原子を利用した多体問題の研究と応用―
(3) スピン軌道相互作用による電子スピン制御:半導体におけるスピン軌道相互作用、スピンホール効果、マヨラナ粒子の探索、他
<講義日程予定>
(1) 6月 4日(水):13:20-14:50, 15:05-16:35
(2) 6月11日(水):13:20-14:50, 15:05-16:35
(3) 6月18日(水):13:20-14:50, 15:05-16:35
(4) 6月20日(金)セミナー:15:05-16:35
履修者も出席のこと
拙著「半導体量子ドットの物理学~近藤効果を中心に~」物性研究 vol.85, p.853 (2006); 「半導体中のスピン軌道相互作用入門(1~3)」固体物理 vol.43, p.145 (2008), 同 p.197, 同 p.397. いずれも江藤のweb-page, http://www.phys.keio.ac.jp/faculty/eto/eto.html からpdf-fileをダウンロードできます。
レポート