固体を中心とするいわゆる凝縮系において、相互作用する電子系は多様な物性を示す。その多電子系を理解するために必要な基本事項と各種手法・概念を学ぶ。
1.多電子系の取り扱い
2.固体のエネルギーバンド
3.密度汎関数法
4.多体論に基づく固体の電子構造研究
5.各種物質の電子構造と物性
各章毎に、参考書を示す予定。
学部レベルの量子力学を履修済みであることが望ましい。
レポートと試験による。
近年、固体結晶のバンド構造、あるいは原子・分子・クラスター等の凝集系の電子構造を得ることは、各計算機センターの登録ソフトウエア、市販/無償のソフトウエアを用いることで実験家にも可能となった。しかし、そこで用いられている、多電子系を扱うスタンダードな手法である密度汎関数法については、学部レベルの講義ではカバーされていない。本講義では、密度汎関数法に加えて、その基本となっている、相互作用する電子ガスに対する伝統的な理論手法、さらには、本来、密度汎関数法とは別の理論体型であるグリーン関数法による電子構造研究手法について、それらの間の連関も含めて体系的に学ぶ。