グローバルCOE 量子物理学・ナノサイエンス特論第九   GLOBAL COE Special Topics in Quantum Physics and Nanoscience IX

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担当教員
石田 武和 
使用教室
集中講義等   
単位数
講義:1  演習:0  実験:0
講義コード
17049
シラバス更新日
2012年6月13日
講義資料更新日
2012年5月13日
学期
前期

講義の目的

【はじめに】超伝導は物質を低温に冷却したときに電気抵抗がゼロとなる特異な現象である。多くの電気を利用した製品が人類の生活を豊かにしているが、同時に多くのエネルギーを消費していることを思えば、電気抵抗がゼロとなり結果として消費電力がゼロである超伝導は人類にとりすばらしい性質と言えるであろう。講義では、超伝導の現象論を概観したのち、いくつかのトピックを扱う。

【磁束系の性質】超伝導体の中では磁束は量子化される。この量子化された磁束を粒子のように考えれば、その多体系示す性質は磁束量子融解相転移など不思議な性質を示す。

【超伝導体の異方性】興味ある超伝導体の発見が相次いでいるが、その多くは結晶軸に方向に依存して異なる性質を示す。実用化を見据えたときに、この異方性の研究は重要である。講義では、位相性の研究に優れた磁気トルクを取り上げ、その有用性を解説する。

【超伝導微細系の物性】超伝導体は2つの定数で特徴付けることができる。超伝導のクーパー対の大きさの目安としてのコヒーレンス長と磁場の空間変化あるいは電流の強さに関係する磁場侵入長である。この2つのパラメーターと超伝導体のサイズが競合する微小な系ではバルクとは異なる性質を示し、興味深い。微細加工技術で作られた人工的な系(例えば、dドットなど)が示す性質を解説する。

【超伝導の検出器としての応用】超伝導体は半導体やその他の物性を示す物質と比べても極めて優れた性質を示すことがある。例えば、SEMに付属する特性X線成分分析装置の分解能はSi(Li)半導体検出器を用いた場合と超伝導検出器を用いた場合では、分解能が100倍も優れている。超伝導の応用例として超伝導検出器の優れた性質を解説する。

講義計画

1.超伝導の歴史と現象論
2.第1種超伝導体と第2種超伝導体
3.磁束量子とその多体系の物性
4.超伝導微細系の物性とデバイス応用
5.超伝導を用いた検出器

教科書・参考書等

   

関連科目・履修の条件等

   

成績評価

   

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