以下の問題について講義する。
1. 相転移とは何か、そしてそれは熱・統計力学的にどのように記述されるのか。
2. 相転移に伴って起こる臨界現象の性質。相転移が起きると何が見えるのか。
3. 各々の系において、相転移が具体的にどのようにして起こるのか。厳密に解ける例および近似的に解く種々の方法。
4. 臨界現象の普遍性。
熱・統計力学を用いて、相転移・臨界現象の理論を概説する。特に、臨界現象の普遍性について、くりこみ群の方法を用いて理解することを目的する。
1. 統計力学の基礎
2. 相転移とは何か
3. 平均場理論
4. Landau理論
5. 動的現象
6. 可解模型の解析
7. スケーリング理論
8. くりこみ群
9. 実空間くりこみ群
10. 運動量空間くりこみ群
11. 演算子積展開
12. 連続対称性のある系
13. 量子系の相転移・臨界現象
14. 非平衡統計力学の基礎
教科書: 講義ノートを配布する。
参考書: 西森 秀稔「相転移・臨界現象の統計物理学」(培風館 2005年),
H. Nishimori and G. Ortiz,
Elements of Phase Transitions and Critical Phenomena,
Oxford University Press 2011.
熱・統計力学の基礎を理解していること。
試験とレポートによる。
くりこみ群は、相転移・臨界現象を記述する手法であるだけでなく、物理学におけるものの見方・考え方そのものに影響を与えた重要な理論です。「普遍性」とは何かを理解してもらいたいと思います。