超伝導体は、サイズが超伝導の特徴的長さであるコヒーレンス長や磁場侵入深さと同程度以下になると、バルクとは異なる性質を示すようになる。このようなメゾスコピック超伝導現象は従来理論研究の対象でしかなかったが、近年、半導体微細加工技術や測定手法の発達によって、実験で検証することが可能になってきた。本講義では、第2種超伝導体の混合状態であらわれる渦糸を中心に、メゾスコピック超伝導現象について解説するとともに、今後の発展の可能性について議論する。
1.超伝導の現象論
2.バルクな第2種超伝導体の渦糸
3.メゾスコピック超伝導薄膜の渦糸状態
4.メゾスコピック超伝導リングの磁場応答
5.メゾスコピック渦糸状態の制御