非常勤講師によって量子ナノ物理学分野における最先端の研究成果を講ずる。
グラフェン・カーボンナノチューブにおける特異な量子輸送現象について解説する.具体的には,カーボンナノチューブにおいて不純物に起因する後方散乱を全く受けない完全伝導チャネルが存在することを示す.話題の焦点を電子後方散乱の抑制に絞り,電子状態を記述する有効質量方程式,ランダウアー公式,散乱行列,時間反転対称性など,結果の導出に必要な基礎事項に関する説明を詳しく行う予定である.
1. グラフェン・カーボンナノチューブの電子状態
2. 電気伝導の基礎
3. ランダウアー公式と散乱行列
4. 時間反転対称性
5. 不純物後方散乱の抑制と完全伝導チャネル
T. Ando : J. Phys. Soc. Jpn. 74 (2005) 777-817,“Theory of Electronic States and Transport in Carbon Nanotubes”.
A. H. Castro Neto, F. Guinea, N. M. R. Peres, K. S. Novoselov, A. K. Geim : arXiv:0709.1163 (accepted for publication in Reviews of Modern Phys
特になし
出席状況と提出されたレポート課題により評価する.