核物理の基本事項から始め、実験及び理論の立場から原子核の現代的理解と研究の方法、最近のトピックスを紹介する。まず、原子核が陽子と中性子からどのように構成されるか、どのような性質が導かれるかを概観し、それらをどのような実験手法(核分光、核反応)や装置で観測するかについて議論する(旭)。原子核のダイナミクスの基本である核力とその起源、原子核の構造とそれに関わる諸現象について理論の面から解説する。(岡)。
実験(旭)
1. 原子核の概観
1-1 原子核とは? 魔法数、単一粒子軌道とスピン、パリティ、束縛エネルギー
1-2 核の表面振動と変形
2. 核分光の方法
2-1 ガンマ崩壊:ガンマ線放射と寿命、内部転換電子
2-2 クーロン励起
2-3 核磁気モーメントと超微細相互作用
2-4 ベータ崩壊
理論(岡)
1.核力
1-1 強い相互作用の対称性
1-2 中間子交換模型
1-3 量子色力学による核力
2.原子核の構造
2-1 核内の平均場
2-2 相対論的平均場模型
3.ハイパー核
3-1 ハイパー核の生成と構造
3-2 ハイパー核の弱崩壊
4.少数粒子系多体問題
参考書を講義の中で示す
関連科目:ハドロン物理学
履修の条件:量子力学の基礎知識(学部レベル)
レポートの結果を中心に評価する
講義中の積極的な質問を歓迎する