宇宙に存在するブラックホールの天体物理学的側面(理論面、観測面)を論ずる。また、ブラックホールを素材に、宇宙物理学の基本的な考え方、特に平衡状態、不安定性の概念について理解を深める。併せて、宇宙物理学研究におけるブラックホールの役割を議論する。
ブラックホールはなぜ明るく光るのか、どのような放射特性をもち(観測面)、それはどのように理解されるのか(理論面)、またブラックホールは宇宙進化の中でどのように生まれ、成長し、どのような影響を周りに与えてきたのかといった、ブラックホールにまつわる天体物理学諸過程を理解する。
以下の各章を、1~2時間で講義する。
I.はじめに:ブラックホール研究小史、ブラックホール天体、クェーサーの謎
Ⅱ.星の進化とコンパクト天体:星の進化と終末、白色矮星、中性子星、ブラックホール時空
Ⅲ.ブラックホールはなぜ光る:降着とは? 粘性の働き、基本方程式、定常円盤・スペクトル
Ⅳ.ブラックホール天体活動:円盤不安定理論、ブラックホールX線新星、放射ゆらぎ、磁場
Ⅴ.ブラックホールの進化:ブラックホール形成、構造形成理論、クェーサーの宇宙論的進化
Ⅵ.底なしの穴から噴出するジェット:宇宙ジェットの特徴、輻射モデルと電磁流体モデル
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