数学特別講義A第一   Special Lectures on Mathematics A I

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担当教員
金井 雅彦 
使用教室
集中講義等   
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
11511
シラバス更新日
2013年4月11日
講義資料更新日
2013年3月21日
学期
前期

講義概要

 複比 (cross ratio) の歴史は二千年近く,あるはそれ以上と言われるほど古い.
にも関わらずそれに対する理解は不十分である.例えば,複比のまたの姿とも
とらえられるべきシュワルツ微分,パラケーラー構造,測地カレントが
誕生したのは,それぞれ18世紀後半,20世紀中盤,同後半である.
複比のみならずそれに後続するこれら諸概念に対しても,数々の目覚ましい応用を
通じてその有用性が極めて高く評価されている.それらも複比に秘められた力と
解釈されるべきものであろう.これらの発見が複比の長大な歴史と比して近年に
なされたことを考えれば,複比に対するわれわれの現時点での理解は不完全で,
その真価は未だ秘されたままであると考えるのは自然であろう.この講義においては,
複比とその「仲間達」に対する統一的な視点の獲得を目指す.

講義の目的

 複比 (cross ratio) の歴史は二千年近く,あるはそれ以上と言われるほど古い.
にも関わらずそれに対する理解は不十分である.例えば,複比のまたの姿とも
とらえられるべきシュワルツ微分,パラケーラー構造,測地カレントが
誕生したのは,それぞれ18世紀後半,20世紀中盤,同後半である.
複比のみならずそれに後続するこれら諸概念に対しても,数々の目覚ましい応用を
通じてその有用性が極めて高く評価されている.それらも複比に秘められた力と
解釈されるべきものであろう.これらの発見が複比の長大な歴史と比して近年に
なされたことを考えれば,複比に対するわれわれの現時点での理解は不完全で,
その真価は未だ秘されたままであると考えるのは自然であろう.この講義においては,
複比とその「仲間達」に対する統一的な視点の獲得を目指す.

講義計画

 以下の話題を取り扱いたいと考えている(ただし,時間の都合から一部は割愛せざるを
えないだろうが).
1.タイヒミューラー空間と測地カレント(Bonahon)
2.閉測地線の長さの分布と測地カレント(Otal)
3.パラケーラー構造と負曲率多様体の測地流(Kanai)
3.曲面群の円周への作用の局所剛性とシュワルツ微分(Ghys)
4.性質 (T) を有する群の円周への作用(Navas)
5.SL(n+1,R)の格子の球面への作用の局所剛性と高次元シュワルツ微分(Kanai)

教科書・参考書等

なし

関連科目・履修の条件等

 履修をするかどうかを考える際の参考に,キーワードを挙げておこう:
複比・シュワルツ微分・パラケーラー構造・測地カレント・タイヒミューラー空間・
負曲率リーマン多様体の測地流・群作用・性質 (T).
とくに履修に関し制約はない.

成績評価

 レポートによる.

担当教員の一言

 種々の問題に複比が姿を変えて登場し,活躍する様子を楽しんで頂けたらと願っている.

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