講義題目「大偏差原理入門」
大偏差原理と呼ばれる理論の一端を紹介する。これは一般的な(とくに無限次元の
場合を含む)空間におけるLaplace原理を、確率測度のある種の漸近挙動と関連づける
理論と考えられる。この講義ではMarkov過程の経験分布という古くから扱われてきた
対象を中心に、理論の基礎的な部分と典型的な応用を扱う予定である。
1.Cramerの定理とCurie-Weiss模型
2.Markov過程の経験分布に関する大偏差原理
3.Wiener sausageの問題への応用とその背景
4.経験分布の結合分布の表示を用いたLaplace原理の一般化
特に指定しない。
確率論の基礎、とくに弱収束やMarkov連鎖の定義を知っていることが望ましい。
出席およびレポートで評価する。