地球の人口は、200年前には10億人になったと言われるが、現在70億人、2050年には90億人に達すると見通されている。本科目では、私たち人類がどのような技術革新により70億人を支える食物を産み出してきたのか、そして、さらなる人口増加、資源の枯渇などの厳しい状況をどのように乗り越えていくのかを紹介し、展望する。
講義は、複数の講師によるオムニバス形式で行うが、「人は何を食べてきたか、そして何を食べていくのか」を全体のテーマとし、「食の未来技術」とは何か、私たちがどのように貢献できるのかを考察していく。
10月7日 第1回 合同ガイダンス 【東京工業大学 特任教授 嘉多山茂】
10月14日 第2回 ガイダンス及び食料自給率を支える農業技術
科目全体の基礎となる食をめぐる内外の動向とそれらを踏まえた研究開発の方向を解説。
【東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科特任教授 嘉多山茂】
10月21日 第3回 農業の発達と技術革新
人は食べ物をどのように生産し食べてきたのか、これまでの農業技術の発展を概観し、今後の方向を展望。
【前 農業食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター所長 丸山清明】
10月28日 第4回 おいしさを創り出す食品加工機械、食品冷凍装置
産業用冷凍機器などで世界トップの前川製作所の鶏肉自動脱骨ロボットなど新アグリビジネスに向けた研究戦略を紹介。
【(株)前川総合研究所 代表取締役社長 篠崎 聡】
11月4日 第5回 環境・生態系に配慮した農業生産
持続的農業生産のための重要資源である農業と生物多様性の相互関係や、生産性向上と環境・生態系保全の両立について考察。
【農業環境技術研究所生物多様性研究領域長 安田耕司】
11月11日 第6回 遺伝子組換え農作物の開発と安全評価
食料の安定供給への貢献が期待される遺伝子組換え農作物について、開発・普及、安全評価と規制などの国際状況を紹介。
【農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究推進室 田部井豊】
11月18日 第7回 作る漁業、殖やす漁業へ
国際的な水産物消費の増加により注目される完全養殖技術やエビ類等の養殖技術、陸上養殖等について解説。
【東京海洋大学教授 延東 真】
11月25日 第8回 自動化・精密農業の展開
ロボット・無人作業機や衛星データによる生育判定など、IT・RTなどの農業における最新の研究開発成果を紹介・考察。
【北海道大学大学院農学研究院教授 野口伸】
12月2日 第9回 バイオマス研究の動向
アサヒグループにおけるバイオマス研究を例に取り上げ、今後の開発戦略や将来の可能性について考察。
【アサヒグループホールディングス(株)豊かさ創造研究所バイオエタノール技術開発部長 小原 聡】
12月9日 第10回 食品の安全と安全性向上のための技術
食品安全の基本的考え方とリスクアナリシスに基づく食品安全行政とそれを支える研究について紹介。
【東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科特任教授 嘉多山茂】
12月16日 第11回 農業生産と資源の有効活用
バイオマスを利用した化学肥料代替など、環境にやさしい農業に貢献するコンポスト化技術の進展を紹介し、考察。
【東京工業大学大学院理工学研究科 国際開発工学専攻教授 中崎清彦】
1月6日 第12回 昆虫食
栄養も豊富で、養殖にも省スペース省資源な次世代のタンパク源として注目される昆虫食について紹介。
【東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科特任講師 阿良田麻里子】
1月13日 第13回 食品の貯蔵・保存技術
食品輸送や食生活を変え、新ビジネス創出の可能性を秘める食品冷蔵・冷凍技術と残された課題や今後の展望を考察。
【東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科特任教授 髙井陸雄】
1月20日 第14回 冷凍技術の基礎と東工大における研究
冷凍技術の基礎を解説し、冷凍技術に関する研究や研究成果の食の分野への応用に向けた大河研究室の取組みを紹介。
【東京工業大学大学院理工学研究科機械物理工学専攻熱物理工学分野准教授 大河 誠司】
1月27日 第15回 総括 【東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科特任教授 嘉多山 茂】
資料配付
人数制限をする場合があるので、10月14日の授業に必ず出席すること。
出席回数(5割)、講義の際の質疑応答・レポート(5割)
食料問題、環境問題等の解決に向け、従来の「農学、水産学」の範囲には収まらない最新の技術を取り上げていきます。食や農に関心のある学生の幅広い受講を期待しています。