「風景の目利きになる」
風景は、人間が自分の環境に対して行ってきた行為を映し出す鏡です。日本の風景のなかに日本の思想と文化があります。
本講義では、日本の風景を和歌で詠った平安時代末の僧、西行の思想と活動に触れながら、日本的風景の本質を理解します。授業では、桑子敏雄『西行の風景』(NHK出版)を予習で読み、考えてきたことについて授業で討議しながら、日本の風景への理解を深めていきます。
「風景はそれを読む人に応じてたくさんのことを語ってくれる書物である」
西行法師は、日本の各地を旅しながら、多くの歌を残しました。西行の和歌には、かれが日本の空間から読み取った空間のもつ意味が表現されています。この講義では、西行の詠んだ和歌について、どのような思想のもとで、風景が捉えられ、また表現しているかを考えたいと思います。その過程で、日本の仏教や神道、その他の文化的要素についても理解していきます。
1.風景との出会い
2.心静かな男
3.和歌即真言
4.浅いことば
5.虚空の所在
6.歌枕の国
7.鴫立つ沢
8.『御裳濯河歌合』
9.『宮河歌合』
10.神と仏の風景
11.凪たる朝
12.花のしたにて
13.軒の玉水
14.夕霧の底
15.まとめ
桑子敏雄『西行の風景』(NHK出版)をテキストとして使います。
桑子敏雄『空間と身体』の一部をプリントして配布します。
とくにありません。
毎回の小レポートおよび二度の大レポートにより評価します。