科学技術政策分析   Science & Technology Policy Analysis

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担当教員
池上 雅子 
使用教室
水3-4(W931)  
単位数
講義:1  演習:1  実験:0
講義コード
0180
シラバス更新日
2015年10月2日
講義資料更新日
2015年9月16日
学期
後期  /  推奨学期:6

講義概要

核兵器や原子力に象徴されるように、現代の高度科学技術は、人類の存亡を左右する程重大な政治的社会的影響力をもつ。技術は、一方で無限の可能性を与えるが、制御不能または誤って使用されれば核兵器のように人類を滅ぼす事もできる。その絶大な潜在性の故に、特定の時代状況・社会的コンテクストに於ける科学技術は、厳密には価値自由value-free たりえない。したがって個々の政策決定は、必然的にその道義性・倫理性を問われる。M.L.キング牧師の “Our scientific power has outrun our spiritual power. We have guided missiles and misguided men” は正鵠を射た卓見だ。本講では、核兵器、原子力、航空宇宙、ミサイル防衛など人類に絶大な影響力をもつ高度技術の研究開発政策を批判的に検証しながら、人類の福利に寄与する科学技術政策のあり方を、批判社会学的アプローチで模索する。
マネジメントとしての科学技術政策の定量分析に関しては、他の然るべき講座を受講するよう注意されたい。

講義の目的

本講では、高度技術の研究開発政策決定過程とその帰結を、批判社会学的な事例研究 (qualitative case studies)を通して検証する。これは、マネジメントとしての科学技術政策の定量分析の対極に立ち、過去の事例を教訓として大局的時代状況に照らした技術と人間社会に関する洞察を深め、人類の福利と倫理道徳に適った科学技術政策を講じられる思慮深い能力の涵養を目指す。

講義計画

講義1 Introduction
講義2 核の時代の黎明とマンハッタン計画 
講義3 原爆使用の政策決定過程分析
講義4 理論的枠組み:技術と安全保障
講義5 弾道ミサイル開発 
講義6 冷戦時代の核軍拡競争
講義7 「原子力平和利用」再考
講義8 原子力政策決定過程分析
講義9 核不拡散体制下の核拡散
講義10 戦略防衛構想(SDI) とミサイル防衛
講義11 ポスト冷戦時代の新兵器開発
講義12 日米防衛技術共同研究開発
講義13 グローバリゼーションの影響と軍備管理
講義14 政策決定のパラドックスと意図せざる結果
講義15 グループ課題研究発表、論述試験(Take-home exam)課題提示
*詳細(内容更新有り)はカレンダーを参照のこと。

教科書・参考書等

参考資料、論文を随時OCWiに掲載する。

関連科目・履修の条件等

履修条件は特になし。理工系学徒として、科学技術と社会に関する問題意識を持ち、主体的能動的に授業に参加して貰いたい。

成績評価

出席45点 ( 3 点x 15回、但し8回以上の出席が必須)、グループ自主課題研究・発表20点、レポート(Take-home exam)2回 40点(20点x 2)の合計105点満点で評価。

担当教員の一言

一般的に、英語で学術論文を読む機会は大学時代のみ。英語の論文を読みこなせば、情報収集・発信の範囲が世界に飛躍的に拡大する。教材に英語文献を使うのも、その為の訓練。講義で教材を解説するので、「英語が苦手」という学生諸君にこそ奮って受講戴きたい。

連絡先(メール、電話番号)

maike@valdes.titech.ac.jp, 内線2667

オフィスアワー

適時。ただし事前にメールでアポイントメントをとること。

その他

推奨学期:6学期

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