科学についての哲学的問題には様々なものがある。科学の目的や対象とは何か、科学の方法とは何か、科学的知識とは何か、科学とは何か、などの一般的な問題がある一方、物理学や化学、生物学などの個別科学においても哲学的に考察すべき問題が多々ある。本講義では、そうした様々な問題のいくつかについて、その背景とそれに対する既存の見解を紹介し、それらをできるかぎり理論的・体系的に考察する。その上で、最善の解答あるいはこれまでよりも良い解答があるかを探りたい。
科学に携わる者が、何を対象に、どんな方法で、そしてまた何を目的として科学的な実践を行うのか、そうしたことについて素朴に考えるだけではなく、より厳密かつ整合的な考察が可能になるよう、観点、問題、材料を提供し、それらを基に科学についてより深く考察するための普遍的な素養を身に付けることを目的とする。
1. 序(目的、進め方、なぜ科学哲学か必要か、なと)
2. 科学の構成原理
3. 前提(仮説、公理、定義)、帰結、データ
4. 演繹
5. 帰納
6. アブダクション
7. 受容可能性と確証
8. 検証、経験、真理
9. 科学的説明と因果性
10. 理論の目的と対象
11. 理論と実在的個別者の間
12. 実在論と反実在論
13. 科学の変化と科学革命
14. 科学の形而上学的前提
15. 科学とサピエンティアの探求
科学哲学に関連する文献を、それぞれが主体的に選び、批判的な考察を交えながら、徹底して精読されたい。なお、講義でも様々な関連文献を紹介する。
なし。
レポート。
かつて南原繁は次のように述べた。
“理想はひとり青年の夢想ではなく、また単なる抽象的観念でもなく、われわれの生活を貫いて、いかなる日常の行動にも必ずや現実の力となってはたらくものである。”
この言明は真である。
そして、文頭の「理想」を「哲学」に替えてもまた真である。
願わくは、現実から理想を起こし、理想を現実のものとせしめよ。
そしてそれを達せんと欲するとき、人は哲学の必要に強く迫られる筈である。
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