科学者はいかに生涯を賭けるテーマに出会うのか。本講では毎回、ロールモデルとなる人物を採り上げる。幼少期から何に関心をもち、どのように師となる人と出会ったか。苦労や挫折をいかに乗り越え、どのように課題に取り組んだかなど、具体的なエピソードを交えて紹介する。対象とする人物は有名無名を問わず、分野も分子生物学、物理学、遺伝学、工学、再生医学、精神医学、植物学など多岐に亘る。ノーベル賞受賞者やリタイアした人、歴史上の人物、科学者ではない道を選んだ人も採り上げながら、科学研究が先人の歴史の上にあることや科学者の社会的責任、科学者としての多様な生き方、未来に求められる科学者像などについて考えてもらう。本人を招き公開インタビューを行う回も設ける予定。
科学者が自分の目指す研究を自由に行っていくにはよほど強い意志を必要とする。将来どんな生き方をしていくのかを今のうちに考えることは大切で、本講では先人の生き方を通じてその思考レッスンを行いたい。
1.ガイダンス 「テーマとは何か~ビヨンド・エジソンから<空気の化石>」
2.下村脩「寝ても覚めてもクラゲの日々~研究は社会の役に立つべきか?」
3.マリー・キュリー「偉人伝から遠く離れて」
4.マイトナーとフランクリン「消された功績、盗まれた功績」
5.閑話「絶対音感はイリュージョン?」
6.アインシュタインとインフェルト、そして石原純「師と弟子~挫折と愛と新生」
7. 広島地方気象台と猿橋勝子「空白の天気図と観測精神」
8. 公開インタビュー「佐々木玲仁~原子核物理から心理の道へ」
9. 閑話「星新一~要素分解共鳴結合」
10.アリス・ウェクスラー「遺伝子工学と生命選択~知らないでいる権利」
11.公開インタビュー「古澤満~サルがヒトになったって本当? 不均衡進化説」
12. 公開インタビュー「山内一也~エボラ出血熱とエマージングウイルス」
13. 中井久夫「人はなぜ回復するか~統合失調症の寛解過程」
14. 閑話「青いバラ 不可能を可能にする」
15. ジャニン・ベニュス「バイオミミクリー 生物模倣のテクノロジー」
*順不同。変更の可能性あり
教科書はなし。必要な本があればその都度指示する。
参考図書は『ビヨンド・エジソン 12人の博士が見つめる未来』(ポプラ文庫)、『絶対音感』『星新一 一〇〇一話をつくった人』(以上、新潮文庫)、『青いバラ』(岩波現代文庫)、『セラピスト』(新潮社)、いずれも最相葉月著。
2年生対象だが、興味のある人は何年でも歓迎する
出席+レポート(不定期)
ハウツーを求める人には向きません。講義の進め方や私の自己紹介など本講に序章にあたる話をしますので第1回(4/10)は必ず出席してください。