科学技術と社会   Science, Technology, and Society

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担当教員
札野 順 
使用教室
金1-2(H136)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0128
シラバス更新日
2016年1月29日
講義資料更新日
2015年9月16日
学期
後期  /  推奨学期:4

講義概要

21世紀の高度技術社会において、科学技術者は、専門的知識や能力だけではなく、様々な価値を理解し、バランスのとれた価値判断と行動設計ができることが求められている。本科目では、科学技術と社会及び環境との関係,また近年のグローバル化・ボーダレス化による科学技術者を取り巻く環境の変化について理解することに焦点をあてている。特に、具体的事例を通して、科学技術が人間社会や自然環境等に対して与える正負の影響について理解する。ただし、ともすれば、科学技術の影響は否定的にのみ取りあげられることが多いが、本科目では、科学技術が人類に対して果たしてきた貢献を正当に評価した上で、科学技術に起因する様々な問題についても十分な知識と理解を得ることを目指す。さらに、われわれが直面している地球規模の問題群に対する科学技術による貢献を志向する態度を形成する。また、科学技術の発達に伴う、政治的・経済的・文化的活動のグローバル化・ボーダレス化が今後ますます活性化することに鑑み、国際的な視野を持って活躍できる科学技術者に求められる資質について検討する。

講義の目的

・ 科学技術が人間社会に与える影響や効果の理解
 科学技術が人間社会に対して果たしてきた成果について理解するとともに、負の影響等について科学的合理性および社会的合理性の観点から理解する。併せて、安全とリスクとのトレードオフ問題など、われわれの社会を支える科学技術と生活との関わりについて理解する.
・ 科学技術が自然環境に与える影響や効果の理解
 科学技術の急速な発達によりもたらされた様々な問題について、その現状を科学的合理性および社会的合理性の観点から理解する。特に,1980年代以降、「持続可能性」という新たなパラダイムが提起されていること、及び、次世代への責務として環境・生態系の保全と調和した発展が求められていることを理解した上で科学技術による問題解決の視点を形成する。
・ 現代の国際化社会の特質の理解
 交通・運輸の発達、また特に近年の情報技術の急速な発達に伴うグローバル化・ボーダレス化の状況を理解する。特に、経済・産業分野における情勢の変化を踏まえた上で、活動の場がますます国際化する科学技術者として歴史的・文化的な差異、多様性を理解する。
・ 21世紀高度技術社会において科学技術者に求められる態度・価値観の形成と倫理的判断能力の向上

講義計画

1. ガイダンス及びグループ討議「なぜ私は科学技術者になるのか」
2. 「新しい時代」の科学技術者—日本学術会議声明「科学者の行動規範—改訂版—」を参考にー
3. 科学技術と価値−科学技術者が共有すべき価値とは何か−
4. 科学技術と社会・環境①
5. 科学技術と社会・環境②
6. 科学技術と社会・環境③
7. Good Workに関するプレゼンテーション①
8. Good Workに関するプレゼンテーション②
9. グローバル社会における科学技術者
10. 倫理的意思決定の方法—セブン・ステップ・ガイドー
11. 組織のなかでいかに行動すべきかー企業の社会的責任と技術者倫理—
12. 東日本大震災後の社会における科学技術者の役割
13. 責任ある研究・開発活動とは何か。
14. 社会のなかの、社会のための科学技術①
15. 社会のなかの、社会のための科学技術②
(受講者の関心や進捗状況により、講義の順序は変更する場合があります。)

教科書・参考書等

札野順編著、『新しい時代の技術者倫理』(放送大学教育振興会、2015年)を教科書とします。参考文献などは、初回の講義で文献リストを配布し解説します。

関連科目・履修の条件等

討議のためのグループ分けなどがありますので、初回の授業に必ず出席してください。

成績評価

・「Good Work」、「Grand Challenges」、「ケース分析」などに関するレポート
・グループ討議及びその結果の報告
・基本的な知識に関する確認試験
・クラス全体への貢献度
・出席
 などを総合的に評価します。

担当教員の一言

本科目は、単に講義を通しての知識の伝達という形式ではなく、学生諸君自らが積極的に学ぶ能動的学習(active learning)の形式で運営します。自ら情報を集め、自分の頭で考え、その結果を整理して他者に伝えることを通して、「科学技術と社会の関係」及び「高度技術社会における科学技術者の役割」について深く考察しようとする諸君の受講を歓迎します。

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