I 化学で用いられる方法や考え方を修得する。所定の教科書を用いる。
II 量子化学の基礎,物質の構造,状態,変化について講義する。
量子化学の基本について学び、原子・分子、さらに可能な範囲で化学結合についての理解を深める。これらを通して化学で用いられる方法や考え方を習得する。具体的には下記の内容を中心に講義する。
1.原子に関する復習:
Rutherfordの実験、エネルギー準位とスペクトル
2.ミクロな粒子(電子、原子、光子など)の振る舞いとその理解1:
黒体放射、光電効果、物質波、不確定性原理、量子力学の起こり
3.ミクロな粒子(電子、原子、光子など)の振る舞いとその理解2:
半古典論的量子力学、新しい世界を探る苦闘と工夫
4.ミクロな粒子の運動を記述する基本方程式:
Schrodingerの波動方程式の登場
5.簡単なモデル計算で描くミクロな世界(箱型ポテンシャルの例):
エネルギー、波動関数、量子数
6.水素原子内での電子の運動:
エネルギー、原子軌道、実験との比較
7.多電子原子内での電子の運動:
エネルギー、パウリの原理、フントの規則
8.元素の性質の多様性と周期性:
電子配置、周期律、イオン化エネルギー
物理化学(ボール著、化学同人)
または、理工系基礎化学(講談社サイエンティフィク)
試験と2-3回実施する講義内容に関するレポートで総合評価。内容は講義で論じた基本的項目と、その展開能力を確認する。
とっつきにくい科目ですが、実は電子デバイスは言うに及ばず分子機械、燃料電池から人工光合成まで、4類の皆さんが係る世界の技術体系を広く根本で支えているのが、実はこの量子科学です。
skoshi@cms.titech.ac.jp