医に展開する工学と生命倫理   Advanced Technology in Medicine and Bioethics

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担当教員
桑子 敏雄  進士 忠彦  小俣 透  八木 透  大上 泰弘  吉武 久美子 
使用教室
水3-4(W933)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0475
シラバス更新日
2014年10月7日
講義資料更新日
2014年9月18日
学期
後期  /  推奨学期:6

講義概要

医療に貢献する工学技術開発について、教員による講義および教員と学生、学生どうしの議論を通して理解する。また、科学技術の倫理について理解を深め、一人ひとりの倫理観を養う。
授業は、講義と討論で構成するが、議論を充実したものにするために、はじめにグループ分けを行い、グループ討論を行いながら、授業を進める。グループ分けではメンバーの多様性を重視する。
3年生推奨の講義であるが、他の学年の学生も歓迎する。

講義の目的

人類の幸福な生活に貢献するために人工臓器器官の開発福祉医療機器の高度化から細胞や遺伝子の操作に至るまでさまざまな工学技術が医学医療の最前線に展開しつつある。
本講義では、理工系で学ぶ学部生がその技術開発の現状と将来像を把握するとともに、開発を推進する上で遵守すべき基本的なルールおよび人間や生物の尊厳に根ざした生命倫理について理解し、かつ高い倫理観を身に着けることを目的とする。

講義計画

第1回(10 月 8 日(水))「講義ガイダンス」 担当 桑子
概要:講義構成の説明ならびに成績評価等の説明、および受講生のグループ分けを行う。

第2回(10月10日(金))「生体計測と倫理的配慮」 担当 丸山
第3回 (10月22日(水))「バイオメカニクスに根ざした生体計測」 担当 丸山
概要:生体計測の困難さと計測時の倫理的配慮について解説する。また、スポーツやリハビリテーションに活用される運動計測手法を紹介し,バイオメカニクスとの関連について説明する。生体計測の意義と注意点について、議論を通して理解を深める。

第4回(10月29日(水))「心臓移植・人工心臓と生命倫理」 担当:進士
第5回(11月5日)(水))「人工心臓の研究開発と今後の技術課題」 担当 進士
 重症心不全の最終的な治療法として心臓移植があるが,慢性的なドナー不足から,その代替手段として,体内植え込み人工心臓が長年研究開発され,現在,国内外で急速に臨床応用が進んでいる.前半では,心臓移植,人工心臓の歴史と現状を概観し,それを元に,生命倫理の問題を議論する.後半では,工学的な側面から,最新の人工心臓の研究開発と今後の技術課題に関して概説する.
進め方:
1回目 心臓移植と人工心臓の概要を説明,倫理的な問題を提示,宿題として,次回までに,グル―プ間での意見をまとめるように指示する。
2回目 前回の宿題に対して,30分〜45分程度議論を実施.その後,人工心臓に関する研究開発の最新動向を紹介する.

第6回(11月12日(水))「脳・神経を利用したインタフェース I」 担当 八木
第7回(11月19日(水))「脳・神経を利用したインタフェース II」担当 八木
 第6回は脳への電気刺激によって病気を克服する「脳深部刺激(DBS)」について、また第7回は内耳への電気刺激によって聴覚を再建する「人工内耳」について解説する。そしてそれぞれの医療技術に関連する倫理問題についてグループ討論を行う。

第8回(12 月3日(水))「低侵襲外科手術ロボットの研究開発」 担当 小俣
第9回(12月10日(水))「低侵襲外科手術ロボットを考える」 担当 小俣
 内視鏡外科手術の普及とともに,ロボット・メカトロニクス技術の医療への貢献が期待され,手術ロボットの研究開発が活発に行われている.一方,人体に使用する機器を開発する際には倫理的な配慮が必要である.そのため臨床応用のハードルは高く,開発されたものも高価になるため問題を生じている.前半では手術ロボットの研究開発状況を概説するとともに問題点を指摘する.後半ではグループ討論により問題点を議論し理解を深める.

第10回(12月17日))「倫理的選択と利益相反」 担当桑子
 科学技術の開発や利用の際には、さまざまな倫理的選択を行う事態に遭遇する。とくに難しいのは、対立する利害関係のもとで、最適な判断を行うことである。この講義では、どのような場合に、科学技術者は困難な倫理的判断を求められるのか、そのようなケースでは、どのような意思決定を行うべきかを実例と討論を通して考える。

第11回(12月24日(水))「生殖補助医療技術と生命倫理」 担当 吉武
本講義では、体外受精胚移植法、人工授精、代理母などの生殖補助医療技術の特徴について、当事者の身体的心理的側面、法的、倫理的側面から概説し、倫理問題について検討する。学生は生殖補助医療技術の開発とその使用について、各自がどのような意見とその理由をもっているのかをまとめて提出する。

第12回(1月7日(水))「寿命延長の医科学 (解説)」 担当 大上
第13回(1月14日(水))「 寿命延長の倫理 (討議)」 担当 大上
講義の主題:「寿命が自由に制御できる社会は豊かな社会ですか」
近年、寿命延長にかかわる研究が進み、ヒト以外の生物では寿命延長が実現されている。しかし、寿命延長という操作は治療行為ではない。なぜなら、それは病気の治療ではなく、正常な機能の増強に他ならないからである。講義では寿命延長の医科学研究について解説し、寿命延長が実現した場合何が問題となるのかを討議を通して理解する。

第14回(1月21日(水))「生殖補助医療技術と今後の課題」 担当 吉武
生殖補助医療技術について、前回、提出された学生の意見をもとに、グループ討議を行う。また、臨床応用されつつある子宮移植の問題も取り上げて、新しい医療技術を運用する上での法的、社会的、倫理的側面からのあり方について討議を通して理解を深める。

第15回(1月28日(水)) 「総合討論」 担当 教員全員
本講義を担当する教員が全員参加し、受講学生とともに「科学技術と倫理」をめぐり、医に展開する工学と生命倫理の現状と展望を語り合う。また、討議を通して、問題をより深く理解し、かつ、倫理的意識を高める。

教科書・参考書等

適宜資料を配付する

関連科目・履修の条件等

特になし

成績評価

毎回の小テストおよびレポートによる.

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