日本近代文学を深く読解してみよう。作品中には、諸種の学問、書籍、教養が散りばめられている。たとえば、西洋の19世紀近代文学、東洋の古典籍、西洋近代科学、東洋古来の宗教的学問体系など、多様だ。書かれた時代は近代であっても、その内容は日本近代に囚われず、東西古今の時空を横断している。その醍醐味を伝えたい。
高度の文献渉猟能力を養う。近代日本知識人が読み書きしえた言語は、現代のそれよりもはるかにヴァリエーションに富む。英語文献は中世へも目配りが届き、漢籍は唐代のみならず、同時代や前時代の明・清に及ぶ。欧米の最新の科学を手に入れようとしたのは現在と変わらないが、それに拮抗しうる東洋古典教養を持つ知識人が、触発しあう両文明のなかで産み出す著作は、やはり奥が深い。ひとつひとつの言葉から背後の文化にまで分け入る方法を学ぶ。
1 ガイダンス
2 夏目漱石『倫敦塔』(1)
3 夏目漱石『倫敦塔』(2)
4 夏目漱石『倫敦塔』(3)
5 夏目漱石『倫敦塔』(4)
6 寺田寅彦『団栗』
7 寺田寅彦 他の作品
7 永井荷風『深川の唄』(1)
8 永井荷風『深川の唄』(2)
9 永井荷風 他の作品
10 永井荷風 他の作品
11 谷崎潤一郎『秘密』(1)
12 谷崎潤一郎『秘密』(2)
13 谷崎潤一郎 他の作品
14 谷崎潤一郎 他の作品
15 まとめ
『日本近代短篇小説選』(明治篇2)、岩波文庫、2013年(各自、開講までに購入のこと)。これに載っていないテクストはプリントを配布する。
この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。
毎回の感想文による平常点と期末レポートとによる。
連 絡 先:大岡山西9号館7階714号室 価値システム事務室