ミュージックサウンド入門   Introduction to Music Sound

文字サイズ 

担当教員
河野 土洋 
使用教室
木7-8(W321)  
単位数
講義:1  演習:1  実験:0
講義コード
0862
シラバス更新日
2013年9月27日
講義資料更新日
2013年9月20日
学期
後期  /  推奨学期:2,4,6,8

講義概要

 音楽の効用は、音楽そのものを鑑賞したり、合わせて踊ったりするばかりでなく、映画や映像、ゲームとのコラボレーション、更に音楽セラピーに用いるなどその利用分野はますます広がっている。一方、テクノロジーの発達は音楽制作の周辺を一変させている。コンピュータ・コントロールによる音楽制作の実際を、クラシックの和声学とジャズ・ポピュラーの理論の双方を学びながら、授業の最後に行う作品発表会へ向けて、各自オリジナル作品の制作を課題とする。担当は、「サザエさん」の音楽などで活躍中の本学出身の作曲家・特任教授・河野土洋(かわの・くにひろ)。

講義の目的

理工系学生のクリエイティブなセンスを刺激する上で、アートの世界に触れてみることは非常に大切なことで、中でも音楽は、神が人間にのみに与えた独特のコミュニケーションツールであり動物には及ばない。また、ことばや絵に描いて伝えられない心の表現方法でもある。人が人に喜んでもらえるような目標目的を持った音楽を作曲する、という創造の喜びを実際に体験することにより、科学技術を追い求めて行く上での新たな探究心を刺激するものである。

講義計画

1:【基調】
・東工大で音楽を学ぶこと 工学とアートの関係 ・音楽は誰のためにあるのか ・目標・目的を持った「ものつくり」「デザイン」を目指そう ・作曲の心構え 神の掌中にあるopen mind ・音楽は人間にのみ与えられた心の表現伝達方法 ・授業の提出課題の説明(作品をCDで提出する)
2:【作曲ツールとソフト】
・Moogシンセサイザー 初期の名器 ・MIDIで音をコントロールする(velocity)(step)(pitch)(program#)・「通信カラオケ」というビジネスモデル ・近年のテクノロジーの発展 生楽器、生演奏はどうなる? ・作曲の心構え PFE 創作意欲はどこから 締め切り 約束 ・曲名を考える
3:【楽典 世界共通のドレミファ】
・五線 ト音記号 ヘ音記号 音符 記譜法 採譜、耳コピー ・音程 音度degree 長(2、3、6、7度)、短(2、3、6、7度) ・完全4度、5度、8度 増4度、減5度 ・形式 マーチ形式、二部形式、複合三部形式、ソナタ形式、カノン、ロンド形式
4:【基礎理論1 メロディ】
・スケール 長調(major scale)と短調(minor scale) ブルース 各種モード ・長調 短調(natural minor,melodic minor ,harmonic minor) ・鍵盤 ivory3+ebony2, ivory4+ebony3 という並びのカギ ・長調のミとファ、シとドの間に半音tri-tone=転調のhint
5:【基礎理論2 ハーモニー】
・和音の成り立ちと構造 協和音 不協和音 三和音triad コード付け ・対声学、和声学、バス課題、ソプラノ課題、対位法、フーガ、自由対自由
6:【基礎理論3 ビート】
・リズムの基本 ・2ビート、4,8,16ビートへ grooveがカギ ・Danceable Latin ( beguine tango samba rumba bossa-nova salsa ) ・近年のリズム 2ビート →ロックンロール →ロック →ディスコビート ・モータウン ・ラテンパーカッションでの演奏を体験する
7:【応用理論1 リズム】
・人の分解能は上昇する ・3拍子系 6,9,12拍子 ぴょんこ節=bounce、swing、shaffle ・作ったリズム 変拍子 ポリリズム ・JAZZビート リズムセクション(Dr、Bass、Piano、Guitar、Latin、Vibe) ・アフリカ →キューバ、ジャマイカ →メキシコ →ニューヨーク
8:【応用理論2 コード】
・コードトーン、コードネーム major chord minor chord tension chord ・sus4、diminished、augmented、S/D ・ベースライン、クリッシェ、反進行、通奏低音
9:【応用理論3 コード進行】
・two-five、ダブルドミナント、ドミナントモーション、代理コード、転調 ・ブルースコード、プラガル(アーメン)終止、sus4、Dm7/G
10:【応用理論4 編曲】
・ボイシング(closed,open)、ハーモナイズ(2,3,4voices)、drop2,drop3 ・アプローチ(dominant appr. altered dom. appr. chrom. appr. dim. appr.) ・楽器法 instrumentation  ・Orchestration 楽器編成、吹奏楽の移調楽器、・ポップス=JAZZコンボ(4Rhythm、Sax,Tp,Tb) ・Vocal Choir HumanVoice 四声体
11:【録音と再生】
・音楽を記録する 方法とメディア=レコード(SP,Lp)→磁気録音→Digital録音 ・楽器の定位panとバランスeffect,reverb,delay,equalize,compressor、etc. ・スタジオ、大部屋同時録音→ブース化 マルチ録音、ホール録音、ライブ録音 ・録音・再生の技術の歴史 マイクとスピーカー、エジソンの発明 analogからDigital ・ProToolsとは
12:【音楽の効用】
・音楽を記憶すること ・音楽と脳 ・ミュージック・セラピー ・サヴァンなど
13:【作品発表会1(前半)】自作の発表と解説
14:【作品発表会2(後半)】自作の発表と解説 ・クラス全員の前で、作品と制作概要とデータを説明発表する
15:【総括】
・21世紀の音楽を作って行くのは皆さん 時代と流行 ・同時代に受け入れられ、伝承され、後世で再演されて初めて「芸術」の証。

教科書・参考書等

必要に応じて講義中に紹介する。また、多種多様の音楽を視聴する。

関連科目・履修の条件等

全学的に行うので、どの学年でも受講可能。
また、各自、音楽作品を制作し、この提出を最終課題とするので、多少のパソコンの知識と、ノートパソコンを持っていることが望ましい。(パソコンによらない作品も可。)
人数制限をすることがあるので、1回目の授業に必ず出席すること。

成績評価

授業の最後に行われる作品発表と、出席日数(重みがあります)から評価します。

担当教員の一言

音楽の授業ですから、知識や理論の座学ではなく、なるべく多くの音楽や映像を視聴します。また、パソコンはあくまでツールとし、実際にキーボードやパーカッションを実際に体験して、「人と音楽」の関わりを追究します。

その他

連絡先:世界文明センター(内線3892)
人数制限を行うことがあります。10月2日の文明科目説明会に出席のこと。

このページのトップへ