社会の中の電気と技術   Electricity and Technology in Society

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担当教員
梶 雅範  山田 明  亀井 宏行  前島 正裕 
使用教室
水3-4(H112)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0461
シラバス更新日
2013年10月10日
講義資料更新日
2013年12月19日
アクセス指標
学期
後期  /  推奨学期:6

講義概要

 東京工業大学の学則の第1条に東京工業大学の目標と使命が書かれています。そこには教育の柱として「一般的教養」と「専門的知識」の二つがあげられています。どちらが欠けても、東工大の使命と目的は果たされません。
 総合科目は、「一般的教養」のための科目です。そのために、「総合科目」には次の二つの特色があります。
(1)歴史学とか法学、社会学、文学といった学問分野の名前ではなく、テーマごとになっているなっていることです。講義では、一つの分野ではなく多数さまざまな分野からそのテーマにアプローチします。それが「総合科目」の「総合」という意味です。
(2)原則として複数の教員がリレー方式で講義します。担当する教員は、文系教員だけでなく、多くの場合、理系の教員も加わり大学全体の教員が運営します。
 本講義では、電気・情報・技術史・科学史の専門家が、電気技術の歴史、実際の展開と応用を講義して、電気の社会における位置、役割、電気と社会の関係について考えます。

講義の目的

 社会における電気と技術の在り方について、工学の立場から電気技術が発展してきた歴史的過程を分析することにより、新たな先端技術の着想と技術開発の方向が得られることを学ぶ。また、電気技術の文化財研究・保護への利用、半導体とエネルギーの二つの事例を題材として、電気の技術の在り方の社会における広がりを見る。同時に、20世紀における科学・技術の制度的な転換に重要で、現在の科学技術の社会的在り方に決定的な影響を与えた電気・化学分野での企業内研究所の成立の歴史について紹介する。以上のように、本講義では、電気と技術をより広い社会的・歴史的な観点から捉えることができるようになることを目指す。

講義計画

講義スケジュール案 毎週水曜日に開講
第 1週 ガイダンス (梶)  講堂にて
第 2週 (前島)電気の歴史概説と日本の電化
第 3週 (前島)家電の登場と社会の変化:生活は変わるか
第 4週 (前島)映像技術の発達 視覚とテレビ
第 5週 (前島)コンピュータの歴史 計算する機械から社会の屋台骨へ
第 6週 (前島)電子顕微鏡の発達史 広がる視野
第 7週 (亀井)電気技術と文化財─遺跡を探り護る技術
第 8週 (亀井) 地中レーダと電気探査
第 9週 (亀井) 地磁気で探る地下遺構
第10週 (亀井) 3D計測と文化財保護
第11週 (梶)企業内研究所の誕生:GEとデュポン社(化学史と合同)
第12週 (山田)エネルギーの歴史:自然 - 人口 - 自然へ
第13週 (山田)半導体の歴史:石が計算する
第14週 (山田)半導体とエネルギー:石が発電する
第15週 (山田・亀井・前島)まとめと補足

教科書・参考書等

文献
(1)歴史関係
通史的なもの
石井彰三・荒川文生共著『技術創造』(朝倉書店)
奥山修平ほか『電気技術史概論』ムイスリ出版 1991
城坂俊吉『エレクトロニクスを中心とした年代別科学技術史』日刊工業新聞社
シンガーほか『技術の歴史 14 』筑摩書房
山崎俊雄・木本忠昭『電気の技術史』オーム社 1976
同 『審判 電気の技術史』オーム社 1992
マクローリン『電子工業史』白揚社
べリキンド『人間と技術の歴史』東京図書
古川安『科学の社会史』南窓社、2000
梶 雅範編著『科学者ってなんだ?』丸善、2007

電磁気学史的なもの
矢島祐利『電磁学史』岩波書店
ホイテッカー『電気とエーテルの歴史 上下』講談社
吉羽和夫『ガリレイへの道 4』共立出版
高木純一『電気の歴史一計測を中心として』オーム社1967
直川一也『電気の歴史』東京電気大学出版1985
二見一雄『電気の歴史』コロナ社1968
池谷理『エレクトロニクスの生い立ち』1990

伝記的なもの
矢島祐利『ファラデー』岩波新書 1940
A.フエルスト『ジーメンス伝』二見書房 1943J
J.M.トーマス『マイケル・ファラデー』東京化学同人 1994
田村栄太郎『日本電気技術者伝』科学新興社 1943
ロイ。ポーター『大科学者たちの肖像』朝日新聞社 1989
コンピュータ関係
H.ゴールドスタイン『計算機の歴史』共立出版 1979
C.R.モレンホフ『ENIAC神話の崩れた非』工業調査会 1994
特殊なもの
電子管史研究会『電子管の歴史』オーム社
日本放送協会『放送50年史』日本放送出版協会 1977
テレビジョン技術史編集委員会『テレビジョン技術史』テレビジョン学会 1971
静岡大学テレビジョン技術史編輯委員会『静岡大学テレビジョン技術史』浜松電子工学奨励会 1987
岩間政男『ラジオ産業20年史』無線合同新聞社 1944
エドモンド・テ… エーテルと電気の歴史 上 講談社 1976
関英男 電気の歴史・先駆者たちの歩み・ 叢書名:NHKブックス 日本放送出版協会 1977
直川一也 電気の歴史(第2版)東京電機大学出版局1994 2,700
・今も聞える藻岩の叫び・北電藻岩発電所建設工事・ 札幌郷土を掘る会 1988
・叢書名:札幌民衆史シリーズ 札幌郷土を掘る会
・華北電電事業史 北電会 電気通信協会 1975
・昭和電工成立史の研究 麻島昭一,大塩武 日本経済評論社 1997 8,500
・仙台市電・その50年 昭和史とともに・ 仙台市 仙台市 1976
・中国のアニメーション・中国美術電影発展史・ 小野耕世 平凡社 1987
・IBMに挑んだ技術者達・コンピュータ発展の裏面史 デービィド・E…HBJ出版局1992
・アメージングムービー 第2号ロボット&コンピュータSF映画史/ドラキュラ映画史 銀河出版

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には総合科目、17年度以前の入学生には総合科目Bの単位として認定されます。

成績評価

各担当者へのレポート提出が主。

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