現代史   Contemporary History

文字サイズ 

担当教員
布施 広 
使用教室
金1-2(W933)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0133
シラバス更新日
2013年9月20日
講義資料更新日
2013年9月20日
学期
後期  /  推奨学期:4

講義概要

現代の世界を分かりやすく分析します。その根底にあるのは「日本人とは何か」という問題意識です。2011年3月の大震災は深刻な原発事故を呼び、日本はチェルノブイリに匹敵する危機に直面しました。加えて、尖閣諸島や竹島、北方四島をめぐる中国、韓国、ロシアとの対立が鮮明になり、日本の安全保障と外交戦略は歴史的に大きな曲がり角に差し掛かりました。中東では民衆運動が活発化し、「アラブの春」と呼ばれる大変動が続く中、シリアは米国の軍事行動含みの情勢に発展しました。2012年には米国、ロシア、フランス、韓国で大統領選があり、中国の国家主席も交代しました。世界の激動につれて世論誘導が内外で巧みになり、何が本当なのか見分けにくい時代です。担当教員は新聞社の論説委員で、カイロやワシントンで特派員を務めたほか、イスラエルにも留学しました。海外での実体験、たとえば湾岸戦争(1991年)や同時テロ(2001年)を踏まえ、今まさに日本と世界で起きていることをやさしく解説します。価値観が揺れ動く時代を生き抜くには、したたかな洞察力と知性とが求められます。素朴な疑問や問題意識を大切にしましょう。

講義の目的

情報が氾濫する世界で、「何をどう考えるか」を考えることが主眼になる。講師は日本の戦争を知らないシラケ世代だが、海外で戦争や武力紛争をしばしば取材した。いろいろと思うところがあった。人の生き死に関する体験や国際政治の実態などを説明し、講師自身が考えたことを若い人にぶつけたい。国際政治の世界は「まことしやかなウソ」にだまされないことが肝要だ。

講義計画

(順不同。情勢に応じて内容は変わります)
1. 9・11体制後の世界――テロとの戦いをめぐる情報戦・謀略戦の実態。今後の日米関係と世界情勢を展望する。日本はどんな役割を果たしていくべきか。2001年の同時多発テロ後、アフガニスタンとイラクで戦争を始めた米国は、国力が消耗し、超大国としての指導力は低下している。オバマ大統領の人気も低迷しており、世界秩序の変動は続きそうだ。
2. 日本と中国――恐るべきスピードで経済成長を続ける中国。米国と中国の間で優秀な学生の相互乗り入れも進んでいる。なぜ日本と中国はいがみ合うのか。習近平時代に尖閣問題の平和的解決は可能か。尖閣問題の背景にある中国の膨張戦略の行き着く先はどこか。南シナ海の出来事も含めて中国の世界戦略、米国との角逐を展望する。 
3. 北朝鮮の思惑――飢える国民をよそに先軍政治を推進する北朝鮮は核実験を3度も行った。金正恩氏を後継者に選び、「強盛大国」をめざす北朝鮮は、どこへ向かうか。核、ミサイルの脅威をなくすのは可能か。
4. 中東動乱――チュニジアから始まった民衆運動のうねりは、エジプトのムバラク政権を倒し、欧米の軍事協力を得たリビア反体制派によるカダフィ政権打倒につながったが、エジプトでは大きな揺り返しも見られる。シリアも早晩、体制崩壊は免れないといわれ、米軍戦闘部隊が撤退したイラクではなおテロが続く。アフガニスタンでは米国が敗北の危機に直面している。中東・イスラム世界はどう動くのか。
5. ミサイル防衛(MD)と東工大――日本は北朝鮮の脅威を追い風にMD導入を急いでいるが、マサチューセッツ工科大(MIT)の教授らは「現行システムでは迎撃は無理」と断言する。日本ではなぜ、MDの技術的可能性(feasibility)をめぐる論議が低調なのか。
6. イラン核問題――イスラエルがイランの核施設を攻撃するという情報が流れている。イランと対立してきた米国の動きも見逃せない。核問題はどんな展開を見せるか。
7. イスラエルという国――パレスチナを占領し、過剰な武器使用が非難を浴びるユダヤ人国家の論理。アメリカがイスラエルを「無条件に支持」するのは、なぜなのか。
8. 「宗教国家」アメリカ――「サルが人間になった」という進化論教育をめぐり米国では訴訟も起きている。宗教右派、ネオコンも含めて、強い宗教的ベクトルが働いている米国は「意外に分かりにくい国」だ。
9. 日本とイスラム――日本は宗教色の薄い国だが、それでは世界の動きを必ずしも理解できない。特にイスラム教徒は何年か後にはキリスト教徒に代わって世界最大勢力になると予測される。常任理事国入りをめざすにもイスラム理解が必要だ。
10. 憲法改正の展望――中国やロシア、韓国の領土的圧力もあって、日米同盟強化を望む動きが強まっている。集団的自衛権や憲法改正問題も重要な検討課題になっている。
原発事故に端を発したエネルギー議論も含めて、日本の外交。安保のあり方を考える。
11. その他、日本の文化・社会の問題(教育、いじめ、犯罪など)も折に触れて取り上げる。

教科書・参考書等

特定のものはなく、必要に応じて資料を配布します。なるべく新聞を読んでください。

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

 期末のレポートと出席状況で判断します。

担当教員の一言

自分の頭で、楽しく、粘り強く考える習慣を。そのためには、新聞や本を読んで様々な意見を知ることが大事です。
 と同時に、自分の疑問を人にぶつけることが大切。どんどん質問してください。質問を恥ずかしがっているうちは、世界と競争することはできません。なお、人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。

その他

推奨学期:4学期
連 絡 先:大岡山西9号館7階714号室 価値システム事務室

このページのトップへ