環境・社会論   The Theory of Environmental Protection

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担当教員
伊瀬 洋昭  歌川 学 
使用教室
金1-2(W936)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0122
シラバス更新日
2013年9月20日
講義資料更新日
2013年9月20日
学期
後期  /  推奨学期:4

講義概要

私たちが直面しているさまざまな環境問題について,社会的側面から整理・分析し,受講生にとって考えるべき論点・課題がより明確になる,そのことを目指して講義をすすめる。環境問題などの「現代的課題」に対しては,安易な結論に安住して思考停止状態になることを避け,より本質的な課題について検討し続けていくことこそが,重要だと考えるからである。
社会的側面から見たとき環境問題には,局所的なものにも地球規模のものにも共通する面を見出すことができるし,技術の安全性と事故の問題,などと密接に関連する面も見出すことができる。そのような連関を視野に入れながら,福島原発事故を含むいくつかの歴史上の事例を題材としてとり上げて検討を加える。

講義の目的

私たちの社会が直面している地域や地球規模での様々な環境問題を社会的関係において分析し、その問題解決へ向けての取り組みや現状を論ずる。受講生が今後様々な分野で「永続可能な社会」の実現を推進する「環境負荷の少ない社会システム変革の主体者」となるための基本的な考え方や実践的知識について、具体的な事例を通じて修得することを目的とする。

講義計画

1 ガイダンス (伊瀬)  
 環境・社会論の進め方及びアンケート
 東日本大震災や福島原発事故を踏まえて、あらためて環境と社会を考察する。 
2 環境と技術者倫理(伊瀬)  
 技術者・研究者の社会的責任と倫理について環境問題を事例にして考える。特に原子力研究者の社会的責任と倫理についてクローズアップする。 
3 環境負荷に配慮した企業活動(伊瀬)
 企業コンプライアンスを解説し、環境事故対応事例を参考に、環境負荷に配慮した企業活動を考える。就活に役立つ環境社会報告書やCSR報告書の読み方も紹介する。
4 環境リスクと健康影響(伊瀬)
 原発事故による放射性物質の地上沈着による影響や大気汚染を例に、放射能被ばくリスクや健康影響への配慮について考える。
5 環境放射能汚染(伊瀬)
 放射能汚染水の海洋への排出が止められない状況が憂慮されているが、環境トリチウム研究者をゲストに迎え、トリチウムを事例に環境放射能汚染問題について考える。
6 環境アセスメントと代替案(伊瀬)
 計画に環境配慮を組み入れ、社会的合意形成に役立てるための方策を考える。原子力発電所建設がなぜ環境アセスメントの対象とされてこなかったについても考える。
7 裁判や公害調停の役割 (伊瀬)
 公害・環境破壊のない社会へ変革するための裁判や公害調停、ステークホルダーの関与について考える
8 国際政治と環境(歌川) 
 80年代から、国際政治の中で環境問題が大きくクローズアップされて来た。
国際的議論における環境、その条約化と、国内政策対応などについて考える。
9 エネルギーと環境 (歌川)
 エネルギー利用が引き起こす環境問題の代表として、気候変動の現象と影響、必要な排出削減について考える。
10 エネルギーの供給と消費の実態・CO2排出実態 (歌川)
 エネルギーの供給と消費の全体像、エネルギー種別の特徴、発電や消費の実態、夏のピーク電力需要などについて考える。エネルギー需給と密接にかかわるCO2排出についても考える。
11 再生可能エネルギーについて (歌川)
 原子力や化石燃料に替わるエネルギーとして注目される再生可能エネルギーについて、特徴や利用形態、可能性などを考える。
12 エネルギー消費削減・CO2排出削減対策(対策) (歌川)
 国全体の省エネ対策、CO2排出削減対策としてどのようなものがあり、それらの中で技術的な重点として何が考えられるかを考える。
13 普及政策・エネルギーのコスト (歌川)
 削減を後押しする代表的な政策を考える。また、エネルギー消費のコスト、対策コストなどの知見を、単にエネルギーを使用している企業や家庭などの観点だけでなく、社会的視点からもあわせて考える。
14 エネルギー・温暖化対策(管理計画) 
 企業単位や自治体単位等で、排出管理をどのように行い、削減対策を優先順位をつけてどう進めるかを考える。

教科書・参考書等

参考書 
本間慎編著 新データガイド地球環境(2,900円 青木書店 ISBN978-4-250-20810-2)2008年6月刊

参考図書
気候ネットワーク編 「新版 よくわかる地球温暖化問題」(2,310円中央法規出版 ISBN978-4-8058-4860-9)

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

原則として出席率50%以上、かつ2つの課題についてレポートを提出したものを成績評価の対象とする。

担当教員の一言

理系科目では手が届きにくい環境問題の核心部分に迫る内容を盛り込んだ講義にご期待下さい。前半では、福島原発事故に関連した話題を盛り込み、後半では、気候変動対策や再生可能エネルギーを集中して取り上げます。

その他

推奨学期:4学期
連絡先:大岡山西9号館7階714号室 価値システム事務室

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