オペラへの招待   Introduction to Opera

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担当教員
山崎 太郎 
使用教室
月5-6(H111)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0121
シラバス更新日
2012年9月26日
講義資料更新日
2012年9月21日
学期
後期  /  推奨学期:4

講義概要

オペラは歌とオーケストラ,舞台美術と衣装,言葉と演技といったさまざまな要素が一体となって,愛と死をめぐる人々の情念と社会の複雑な様相を描き出す総合芸術である。視覚と聴覚の相乗効果には何ものにも代えがたい魅力があり,それゆえに16世紀末の誕生以来,貴族社会から市民社会へのヨーロッパの歴史の変遷において,娯楽と教養の対象として発展を続け,現在,世界的な舞台芸術としての地位を確立するにいたっている。本講義では代表的な作品をいくつか紹介。各作品をさまざまな角度から掘り下げ,その魅力に親しむことで,現代の私たちにとってオペラが持つ意味を考え,ひいてはヨーロッパの社会と文化の成り立ちをより深く理解するための一助とする。

講義の目的

オペラといえば欧米で主に富裕層のために上演される豪華な芸術であり、日本に住む学生にはあまり縁のないと一般的に思われているが、今日の日本でもさまざまな上演が行なわれ、時には学生のための特別な価格設定がなされていたりする。またオペラは何よりもテレビドラマや映画と同様、人間たちの織り成す関係や喜怒哀楽の感情を描くドラマであり、演出によってはそれが(オリジナルのト書とは違う)現代の舞台装置や衣装という設定で示されたりもして、きわめて身近なものと感じられることもある。授業を通じて、このようなオペラの多様な在り方を紹介し、ヨーロッパの伝統文化への理解を深めるとともに、現代の私たちが生きる社会におけるオペラの意義を考えてゆきたい。

講義計画

よく知られるモーツァルト・ヴェルディ・ワーグナー・プッチーニらのオペラから計2~3作品を厳選(今年はヴェルディ《椿姫》+ワーグナー《ヴァルキューレ》が中心)。浅く広くではなく、少数の作品を深く知り、味わうことによって、背景にあるオペラの世界の広がりと豊かさを感じてもらう。
 具体的な進め方としては、それぞれの作品について[1]台本と音楽を分析し、[2]その作品を生み出した時代的背景や作品が放つ社会的メッセージについて考える。また [3]オペラの形態がどのように発展してきたか、その歴史を俯瞰する。
さらには[4]初演時から現代に至るまでこの作品がどのような形で演出されてきたか、その変遷をたどりつつ、社会と芸術の関わりを考察する。 [5]数種類の演出をDVD映像で比較鑑賞することによって、現代社会の問題がどのように舞台に投影されているかを考えながら、作品という素材(テクスト)と上演(パフォーマンス)の関係に光を当て、演出という行為の可能性を探る。

教科書・参考書等

プリント配布。参考図書については授業で指定。

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

毎週のミニ・レポート(400字程度、課題はDVDや作品の感想その他、毎回の授業でアナウンスします)
および学期末レポート(2800字程度)の累計総合点で成績をつける。

担当教員の一言

オペラ好き、オペラを知らない人、どちらも歓迎です。ただし、基本的な受講マナーを守り(これは劇場でオペラを鑑賞する時の、基本態度とも重なります)、熱意をもって授業に参加できることが条件。期間中は参考図書やプリントを自宅で読み、指定された視覚教材(DVD、CDなど)を積極的に利用するようにしてください。教員の説明を受身で聞くのではなく、皆さん自身が大いに考え、書き、参加できるような授業にしたいと思います。また各自、受講期間中ないしはその後の春休みなど、一度ではオペラの公演に足を運ぶことを強くお勧めします(東京近辺でのオペラ公演についても随時紹介します)。
なお、レポート等のケアとフィードバックを充実させ、適切な受講環境の確立するため、最初のミニレポート(アンケート+授業で見せるDVDの感想)によって受講者数を50人前後に制限するので、一回目の授業に必ず出席すること。

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