近代科学の歴史において、教育・研究の場として大学の果たした役割は大きい。本講義では、ヨーロッパで誕生した近代科学が世界に展開していく中で大学の果たした役割を概観したのち、明治以降の日本における科学と大学の歴史、とりわけ東京工業大学の歴史を学ぶ。
本講義で取り上げる大学の歴史を通じて、科学と社会の相互作用、科学と技術、科学の制度化、科学の専門家と職業化、各国での科学研究の在り方、戦争と科学、科学と産業などといったテーマについて考えるとともに、在籍していてもなかなか学ぶことのできない東京工業大学の歴史について学び、東工大が近代日本の科学・技術の歴史において果たした役割を考える機会としたい。
1. ガイダンス
2. ヨーロッパ近代科学成立における大学の役割
3. フランス革命と大学―グランゼコールの誕生―
4. ドイツにおける実験室教育
5. アメリカにおける大学院教育とMITの誕生
6. 中国における近代科学と大学―清華大学の誕生―
7. 明治維新と工部大学校
8. 帝国大学の誕生
9. 東京職工学校の誕生
10. 大正期の高等教育拡大と東京工業大学の誕生
11. 第二次世界大戦と大学
12. 戦後大学改革と東京工業大学
13. 1990年代の理工離れと科学技術基本法の成立
14. 大学のこれから
教科書はとくに使わない。適宜、資料を配布し、参考文献を紹介する。
この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。
授業への出席および期末課題(試験又はレポート)によって評価を行う。
履修者の意見を反映して、授業内容を変更する可能性がある。
なお、人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。
連 絡 先:大岡山西9号館7階714号室(内線3624)