日本文化論   Japanese Study

文字サイズ 

担当教員
高橋 世織 
使用教室
水1-2(H111)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
3634
シラバス更新日
2011年3月23日
講義資料更新日
2011年3月23日
学期
前期  /  推奨学期:7

講義概要

今年度は、サイエンス・リテラシーの豊かな宮沢賢治と寺田寅彦の二人を基軸に、日本文化の諸相を探ります。日本文化は、古来より聴覚的想像力に優れ、独自の自然観や時空間意識を醸成してきました。自然観察に長け、地球思想家とも呼んでいい賢治(地質/土壌学、農芸化学)と寅彦(地球物理学、音響学)を概観する。
地域学(エリア・スタデーィズ)の立場に立てば、日本をひと括りに語ることは乱暴な話です。沖縄と東北では、まったく異なる別の文化が展開し花開きました。19世紀末から20世紀初頭、近代化の過程でもモダニズム文化は一色ではありません。関西モダニズム(谷崎潤一郎)と東北モダニズムの違いを講述し、代表的なテクストを精読してみます。この講義は、文学、絵画、写真、映画、音楽、古典芸能、とジャンルをあちこち越境しながら、日本文化の真髄は耳文化が基層にあることを説いていきます。

講義の目的

次代の科学・技術(この国では一緒くたに言わるが、本来は科学と技術は別物)を担う学生諸君にとって、本講義は、日本文化という自国の文化を、あたかも異文化のように眼差し、自覚的になるエクササイズである。自国に帰ればトップリーダーを担う、東アジアの諸地域からの留学生も、毎年かなり受講しているので、日本の文化の魅力を知り、異文化理解の方法についてもレクチャーします。今年度は、日本文化の真髄である聴覚的想像力を辿ることになる。自分の専門領域の学問を究めるうえでも、本講義がきっと、なにがしかのヒントや参考になれば幸いである。地球環境の現実を踏まえ直視した思考や実践をしなくてはもはや全ての学問や経済活動は立ち行かなくなるだろう。地球温暖化問題を奇貨として、日本のすぐれた自然観、エネルギー観、死生観などもこの際、再認識していければ、対策のヒントや手掛かりは必ずや、あるにちがいない。

講義計画

1) はじめに、日本文化って何でしょう?(日本語における時制、時間観念の変遷)
2) 俳句とシュルレアリスム―<切れ字>とは何か
3) 気候変動と花鳥風月―<季語>再考、歳時記を読む
4) 余白の美学と西欧絵画における<未完成>の概念の比較検討
5) 漫画における無音表象「シーン」考と日本映画のサウンド観
6) 生と死をめぐる象徴主義とリアリズム(能舞台での音表象)
7) 「源氏物語絵巻」における<異時同図>という手法
8) 寺田寅彦「日本の自然観」vs和辻哲郎「風土」の比較検討
9) 東北モダニズムの特徴―宮沢賢治と寺山修司の方法意識
10) 谷崎潤一郎「懶惰の説」と東洋的自然観
11) 日本映画における<不在>の表象(小津安二郎の映像分析)
12) 邦楽と洋楽―武満徹とJ.ケージの休止符、息、空気の捉え方、三味線の《さわり》とノイズ観
13) まとめ(低炭素社会構築に向けての日本の文化力、再生可能エネルギーへのヒント)

教科書・参考書等

参考文献などは随時、教場で指示していきます。

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

レポート(2000字程度)の提出と出席状況も加味して評価します。

担当教員の一言

人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。

その他

推奨学期:3学期
連 絡 先:世界文明センター(内線3892)

このページのトップへ