自然科学的な知の構築に不可欠な様々な基礎概念について考えたいと思います。たとえば「法則」は自然科学において重要な概念であると思われます。しかし、法則とはそもそも何でしょうか。こうした疑問を、本講義では、自然科学的方法論構築に自覚的に取り組みだしたヨーロッパ17世紀の思想に焦点を当て考えたいと思います。本講義では、当時の文献(テキスト)を丁寧に読解・分析することを課題にします。客観的に見える自然学的概念も、実は、神が世界をどのように作ったかという、神学的、形而上学的理解と密接に関係しており、それゆえ解釈は多様で一義的なものではないことに気付かされるでしょう。
自然科学上の諸概念の成立の背景にあるさまざまな哲学的思想や文脈の理解を目的とする。
自然科学的方法論構築に自覚的に取り組みだしたヨーロッパ17世紀の思想において自然学的諸概念はどのように理解されていたか。ライプニッツやマルブランシュ、デカルトらのテキストの分析を通し検討したい。講義は次のようなテーマについて考える予定である。
・自然学とは何か。
・事物に「本性」はあるのか。
・科学的説明に用いられる諸概念の検討。「法則」、「因果性」など。
・合理性とは何であるのか。
教科書は指定しない。プリントを配布する。
参考書としては『西洋思想における「個」の概念』(中川純男、田子山和歌子、金子善彦編、慶應義塾大学言語文化研究所、2011年3月)。
この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。
期末レポートおよび講義期間中に実施する小レポートの提出
私の専門である17世紀ヨーロッパ思想を中心に講義を進めます。当時の文献(テキスト)の分析を通して、今日の私たちにとってなじみ深い自然科学的諸概念も多様な「ゆらぎ」を持っていたことを見ていきたいと思います。
なお一回目の授業に必ず出席すること。
連 絡 先:大岡山西9号館7階714号室 価値システム事務室