技術史第二   History of Technology II

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担当教員
佐野 正博 
使用教室
月3-4(W611)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
3612
シラバス更新日
2011年9月20日
講義資料更新日
2011年9月20日
学期
後期  /  推奨学期:2

講義概要

産業革命期から現代に至るまでの技術の歴史的発展プロセスを取り扱う。技術の歴史的展開に関して「自然的要因および社会的要因による規定はどのようなものであったのか?」、「自然科学的認識がどのような役割を果たしてきたのか?」などの問題を具体的に取り扱うともに、様々な分野の技術発展の相互連関と連鎖的発展構造を考察する。またそうした歴史的考察を通じて、製品の「要素」技術(製品の機能や性能を規定している要素的技術)および製品の「生産」技術(製品の生産量や品質などを規定している技術)の差異と連関といった視点から技術の歴史的展開プロセスの構造の解明をおこなう。

講義の目的

技術の歴史的展開プロセスを具体的に取り扱うことを通じて、「技術の歴史的発展構造とは何か?」「技術発展のあり方を規定している諸要因は何か?」といった問題に関する考察を深めることを第一の目的とする。またそうした考察を通じて、「技術と社会」、「技術と科学」といった問題や、技術の経路依存姓論、ドミナントデザイン論、バンドワゴン効果論など技術的イノベーションに関するManagement of Technology論的問題に関する理解を深めることを第二の目的とする。

講義計画

1.ガイダンス --- 授業内容の紹介、および、技術の歴史的発展構造に関する予備的考察
2.近代ヨーロッパにおける技術発展の歴史的基礎 -- ヨーロッパにおける「中世産業革命」と「近代産業革命」
3.近代ヨーロッパにおける熱源・素材・動力に関する技術的イノベーション --- その相互連関と連鎖的発展
4.製鉄技術の近代初期における発展の制約要因 --- 製鉄技術の歴史的発展の構造と条件
5.技術発展における動力技術の意味と役割 ---蒸気動力技術の歴史的展開プロセスから
6.18世紀におけるsteam engine技術の発展 --- steam engineに関する二つの技術的構成要素(「大気圧の力」と「蒸気の力」)に
関する認識の発展と技術開発
7.19世紀におけるsteam engine技術の発展(1) --- 鉄道・船舶など交通手段に関する技術的イノベーションの展開と社会
8.19世紀におけるsteam engine技術の発展(2) --- 19世紀大工場制の技術的基礎としての定置型蒸気動力技術のイノベーション
9.製鉄技術の近代後期における発展 --- 製「鉄」技術に関するイノベーションとしてのコークス高炉技術と、製「鋼」技術に関す
るイノベーションとしての転炉技術
10.電気技術の歴史的発展の意味 ---- 「発電・送電・配電」システム、電気通信技術(有線通信・無線通信)、照明技術、およ
び、制御技術発展との連関
11.コンピュータ技術の基本的発展構造 ---  .「機械的」計算機から「電子的」計算機への発展、および、「アナログ」計算機
技術vs「デジタル」計算機技術
12.マイクロプロセッサー技術およびパーソナルコンピュータ技術の歴史的発展
13.製品の歴史的展開に関する技術的要因と社会的要因 --- 文字入力および数字入力のためのキーボード配列、自転車技術、電気
自動車技術などの歴史的展開構造
14. 技術発展の構造に関する理論的考察 ---経済学・経営学的理解(「Necessity – Wants - Demand」論的理解) vs 技術論的理
解(「Technology – Function – Performance」論的理解)の差異と連関

教科書・参考書等

特に指定なし。必要な資料は配布する。
また、日本語の参考文献に関してはhttp://www.isc.meiji.ac.jp/~sano/htst/ht-1998d.htmを参照のこと。
なお授業理解のために、http://www.isc.meiji.ac.jp/~sano/htst/History_of_Technology/を参照のこと。

関連科目・履修の条件等

前期の技術史第一を受講していることが望ましい。
 この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

原則として試験で評価する。

担当教員の一言

技術の歴史的展開過程を規定している歴史的発展構造に関する考察を通じて、現代技術の歴史的発展方向および技術発展の阻害要因および促進要因とは何かを考えてみよう。

その他

推奨学期:2学期

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